エドサトウ
過日、認知症の薬の開発を手掛けてきた杉本八郎先生の講演会を京都とバンクーバーを結ぶインターネットで拝見した。フランスの思想家サルトルのパートナーでもあったシモーヌ ド ボーボワールが言うところうの「老いた人に対してこの社会は犯罪的でさえもある」という問いに対する答えは、老人がアルツハイマー病、つまり認知症にならずに元気に第三の人生を過ごせることの大切さではないかと思えたのである。
カナダは、数年前から65歳からの定年制は廃止となり、幸いカナダに住む小生もゴルデンエッジになったが自営業をやめることなく続けているから、年寄りの有り余る様な時間はなく、毎日が忙しく、健康的に過ぎていくのは嬉しい。
仮に定年となり、貯金を崩して暮らすよりは、わずかでもある収入で生活する方が安心感があるのは良い。
このカナダの法案を創るためのチームに、息子の友が行くことになり、首都オタワに行く前に我が家を訪ねてくれたので、僕が夕食のカレーライスを作り、一緒に食べた。
その両親がシンガポール出身の中国系カナダ人のJ君が、数年して法案が出来ると今度はアメリカの大学で勉強することになりバンクーバーに戻ってきて再会をすると「サトー!あの時カレーを作ってくれたね」とニコニコと笑いながら話をしてくれたのは嬉しかった。
余談であるが、カレーの成分の中にアルツハイマーに良い成分があり、アメリカに比べてインドではアルツハイマー型認知症が少ないというのが先生の話にあった。その彼、J君のおかげか僕は今だに仕事を続けられている。
また、地元のアマチュア劇グループに参加していて、役のために髪を黒く染めて以来、顔はよくよく見ればしわだらけであるけれど遠くから見ればますます若々しく見えて、気も志も若こうなり候。
杉山先生とほぼ同じ昭和の時代に青春を過ごしたことは、先生の人生観にも多くを共感出来た。先生は色々と読書をされたり、俳句つくられたりするという。本を読んだり、ボーとしている時に創造的なアイデアが浮かぶという話もある。
晩年、保護師として青少年の更生に尽力してきた母が92歳になるがアルツハイマー型認知症になり、記憶が曖昧になり自宅での介護が難しくなり介護施設のある病院で生活をしているので先生のお話は朗報でした。
今回、この講演会を企画された関係者皆様にお礼申し上げます。次回を楽しみにしています。
「宋代の『歳時広記』には、寒い季節になると、サカキの葉を取って飯に入れてたくと、色が青くなって光る、これを食べると陽気を助ける、これをサカキ飯という」樹の文化誌にある。