鮮やかな赤がまるで真紅の絨毯! クランベリー収穫シーズン到来!

水面に真紅の絨毯が敷かれたような鮮やかな赤色が印象的。Photo by Keiko Nishikawa
水面に真紅の絨毯が敷かれたような鮮やかな赤色が印象的。Photo by Keiko Nishikawa

 メトロバンクーバーを車で走っていると水面に真紅の絨毯が敷かれたような鮮やかな赤色が美しい光景を見たことがあるのではないだろうか。これはこの季節の風物詩クランベリーの収穫風景。意外にもカナダは世界有数のクランベリー収穫国なのだ。

クランベリーとは?

 「湿地のリンゴ」と呼ばれるというクランベリーは、生産量でカナダが世界第二位とされる。その赤い実には、非常に広い濃度のアントシアニンが含まれているほか、バクテリアが細胞壁に付着することを防ぐ物質が含まれているという。健康効果については研究段階のものも多いが、尿路感染症の治療法として長く認めてられている。

 サンクスギビングやクリスマスの七面鳥の付け合わせとしておなじみのクランベリー。Wikipediaには「ツツジ科スノキ属ツルコケモモ亜属に属する常緑低木の総称。北半球、寒帯の酸性の沼地に見られる」とある。

 「クランベリーはかつて多くの先住民の主食であったほか、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州では200年前から栽培が始まった」( BC Cranberries Marketing Commission)、「肉と一緒に叩いてつぶし、ペミカンと呼ばれる乾燥保存食を作るなど多様な用途で利用できるクランベリーは、カナダの大西洋岸地帯の先住民が好んで食べた食物のひとつ」(カナダ農務・農産食品省)という。

 日本でも近年クランベリーの健康効果に注目が集まるようになってきているが、ブリティッシュ・コロンビア州では長きにわたりお馴染みの食材の一つだ。

 「ブリティッシュ・コロンビア州がカナダの生産の約29%を占め、マサチューセッツ州、ウィスコンシン州に続き世界三番目の生産高を誇る(BC Agriculture in the Classroom Foundation )」と、BC州は世界有数の産地である。

バンクーバーでクラベリー収穫風景が見られるのは?

 州内でクランベリーを栽培しているのは意外にもメトロバンクーバーが多く、主にリッチモンド、ピットメドウズ、フォートラングレーなど。

 収穫が行われるのはサンクスギビングの週末辺りで、特にフォートラングレーでは例年だとサンクスギビングの週末に『Fort Langley Cranberry Festival』が開催される。しかし今年は残念ながら新型コロナウイルス感染拡大により中止となっている。

 ただし、もちろんクランベリーの収穫は行われている。収穫の方法にはウェットハーベストとドライハーベストの2種類あり、ウェットハーベストは畑に水を張って、水面に浮かんできたクランベリーを囲い込んでポンプを使って収穫するというもの。

 水を張るのでウェットで、対してドライは水を張らずに機械を使用する。ウェットハーベストは主に加工用、ドライハーベストは生食用に用いられる。

水を張って、浮いてきたクランベリーを収穫する、ウエットハーベスト Photo © the Vancouver Shinpo
水を張って、浮いてきたクランベリーを収穫する、ウエットハーベスト Photo © the Vancouver Shinpo

 ウェットハーベストでクランベリーが水面に浮かんでいる様子が美しいことから、写真好きやインスタグラマーに特に人気が高い。ただ残念ながら正確にいつ水を張って収穫するのかは分からない。

 バンクーバー新報では、リッチモンドとピットメドウズのクランベリー農場数カ所に電話で取材したのだが、観光農場ではないので一般の立ち入りは禁止ということで教えてもらえなかった。

 農場の話では水を張るので、子どもが落ちて事故が起きる懸念がある。また、リッチモンドのファームはウエストミンスターハイウェイとMcMillanWayからOliver Driveの辺りにクランベリーの畑がある。交通量も多く、危険なので責任は持てないという。

以前、ラジオでリッチモンドのファームでクランベリーを収穫中と聞き、訪れた 
以前、ラジオでリッチモンドのファームで収穫中と聞き訪れた Photo © the Vancouver Shinpo

 安全にクランベリーの収穫の景色を楽しんでもらおうと、一部ファームではツアーを行っている。

 たとえば、ピットメドウズのホップコットファーム(Hopcott Farm:18385 Old Dewdney Trunk Road, Pitt Meadows, TEL: 778-385-1063)では10月12日から23日まで楽しむことができる。大人(13歳以上)20ドル、子ども(4歳から12歳)12ドル、シニア15ドル。今年はマスク着用が必要だ。

 クランベリー収穫シーズンを通して行っているため、水に浮かぶクランベリーを見ることができるかは保証できないそうだ。

ピットメドウズまで足を延ばすなら、Pitt Polder Ecological Reserveに寄ることも勧めたい。平坦なので気軽に散策できるPhoto © the Vancouver Shinpo
ピットメドウズまで足を延ばすなら、Pitt Polder Ecological Reserveに寄ることも勧めたい。平坦なので気軽に散策できるPhoto © the Vancouver Shinpo

サイクリングを楽しみながら収穫風景に出合えるかも

 サイクリングが好きな人なら、10月中旬にピットメドウズのダイク・トレイルシステム(Pitt Meadows Dyke Trail System)をサイクリングするとクランベリーの収穫風景に出合うことができる可能性が高い。

 メトロバンクーバーのサイクリストのウェブサイト「Let’s go biking」にはクランベリー畑の多いエリアのサイクリングマップ「Cranberry Trail」もある。

Pitt Meadows Dyke Trail System 
https://www.facebook.com/pages/Pitt-Meadows-Dyke-Trail-System/360096170698629
Let’s go bikingのCranberry Trailのページ https://www.letsgobiking.net/beginner/cranberry-trail-maple-ridge/

お土産にも良さそう、クランベリーの専門店
クランベリーを見に行くより、食べるほうが!という人にはフォートラングレーのクランベリーナチュラリー(Cranberries Naturally)。チョコレートやヨーグルトクリームでコーティングしたクランベリー、ジャムやシロップ、チャツネ、クランベリーのパンケーキミックスなどが購入できる。
Cranberries Naturally 
住所: 9124 Glover Rd Unit 3, Langley
TEL: 604-888-1989
ウェブサイト: https://cranberriesnaturally.com/


(取材 西川桂子)

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