東日本大震災10周年記念イベント
今年3月11日に東日本大震災から10年目を迎えることを記念し、カナダ大使館がドキュメンタリー映画『東北の新月』(2016年)のオンライン上映会を開催した。
『東北の新月』はカナダ人の映画監督リンダ・オオハマ氏が、2011年5月に被災地を支援したいとカナダから訪日し、2年半以上にわたる取材を経て2016年に完成させた。
宮城、岩手、福島の被災地の人たちとの出会いをきっかけに、「東北の人々の声(新月)」を通して、東北の人々の強さ、苦難、努力に知り、彼らの驚くべき立ち直る力が描かれる。
映画はバンクーバー時間で3月4日午前3時から4時40分まで(日本時間3月4日午後8時より午後9時40分まで)、上映後24時間は視聴可能だった。
リンダ・オオハマ氏メッセージ
パンデミックにより多くの命が失われ、多くの人が病に苦しんでいます。制限下での生活、マスク、経済の損失と苦しい日々が続いています。そんな今、10年前に東北地方の人たちが直面した状況を思い出すことで、考え方を変えられるかもしれません。
多くの人たちが命を落とし、住まいを、コミュニティを、仕事を失いました。かけがえのないものを失くしました。そんな苦しい状況、損失にもかかわらず、復興の決意、愛情や親切、思いやりで東北の人たちは歩んできました。
震災から10年が経ち、映画に登場する8歳の少年は18歳になりました。震災の記憶とともにしっかりと生きています。
今、必要なのは東北の人たちの声を聞くではないかと考えたので、私がこの数か月、東北の人たちからもらった言葉を紹介します。
東北の若い男性より
「今週、ついに避難生活が終わりました。東日本大震災と福島第一原子力発電所事故により避難してから、9年半という年月が経ちました。自宅をようやく建て直すことができたので、震災前に住んでいた南相馬市小高区で暮らすことができます。
避難所生活を始めた直後から今日までたくさんの人からの励ましとお手伝いをいただきました。ありがとうございます。
当初はすぐに自宅に戻ることができると思っていました。こんなに長い時間がかかるとは考えていませんでした。政府や世界中の国、福島県、南相馬市、家族や親せき、友人、町の人たち、私たちと同様に避難していた人、家の建設に関わってくれた人…多くの皆さんのおかげで、今の私があります。
街の人口は震災前の約3割になってしまいました。震災の後は毎日ダンプカーが多数走り、小高に住むことに不便を感じたこともあります。でも新しいスタートを切ることができました。復興に貢献することができたら、貢献したいと思います。
新しい家には滞在していただける場所を用意しています。2階で過ごしていただけますので、ぜひ、お立ち寄りください」
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2月の福島県沖の地震の後、東北の女性から手紙をいただきました。
「私たちは無事です。一部の地域では地震により電気や水などライフラインに被害がありました。テレビやアイフォンからは1分間アラームの音が鳴り響きました。本棚から本が落ちてきました。ひどい揺れや地響きは2011年のあの日を思い起こさせました。あの日から約10年が経ちました。今回の地震は、10年前の震災を忘れてはいけないというメッセージだと思っています。
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東北の新月
東北の新月: 2011年に日本の東北地方で起きた大地震、津波、そして放射能汚染災害後の、愛とサバイバル、日本の文化伝統の感動の物語。
寡黙を旨とする東北の人々がその沈黙を初めて破り それぞれの思いを言葉にする。彼らの強さが先祖から受け継がれたものであり、自分達の存在が日本文化のさらなる存続においてもユニークなものになった事を神秘的な確信を持って物語る。未来を夢見る少年、新たな戦いに挑む年老いた侍: 両者は言葉で言い表せぬ何か、しかし人生に必要不可欠な何かを共に見い出す。
東北の新月:宮城、岩手、福島の人々の声。
監督:リンダ・オオハマ
制作:© Yugen Productions Ltd, Vancouver, Canada.
言語:日本語、英語(部分的に英語の字幕付き)