初めてのオンライン開催
3月6日、BC州日本語弁論大会がBC州日本語弁論大会実行委員会と総領事館との共催により開催された。コロナ禍の中、オンラインで行われ、出場者や審査員などもリモートで参加する形となった。
高校生部門
どの出場者も3分から4分の持ち時間の間で、学校生活、日本の文化、将来についての考え、社会的問題など、さまざまなトピックについてしっかりと語っていた。高校に進学してから日本語を学び始めた生徒も多いことを考えると、これからの上達がますます楽しみな発表ばかりだった。
高校生部門の上位入賞者は下記のとおり。
初級
1位 ソフィー・プライスさん(R.A.マックマス・セカンダリースクール)
「日系の心」
2位 ブライアン・ハンさん(バーナビー・ノース・セカンダリースクール)
「将来が楽しみ」
3位 レキシー・ローソンさん(R.A.マックマス・セカンダリースクール)
「アニメの声優」
中級
1位 ジョニー・チェンさん (マウント・ダグラス・セカンダリースクール)
「内容の無いスピーチ」
2位 クリスティー・ハンさん (バーナビー・ノース・セカンダリースクール)
「人生の選択」
3位 ハジュン・リーさん (アルファ・セカンダリースクール)
「教室の思い出」
オープン
1位 コナー・ラージさん (セミアモー・セカンダリースクール)
「素晴らしい習慣」
2位 カズネ・フェイさん (バーナビー・ノース・セカンダリースクール)
「平和を求めて」
3位 ハナ・ホフマンさん (バーナビー・ノース・セカンダリースクール)
「スピードスケート」
特別賞
ヒカル・オズドゥマンさん (トーマス・ヘイニー・セカンダリースクール)
「インターネットの世界」
審査員を代表してR.A.マックマス・セカンダリースクールのグレース・ホー先生が総評を述べた。まず、スピーチを述べる際には伝えたいメッセージを明確にすると共に、心から伝えたい気持ちを表現することが大切だとアドバイスした。そして、どの発表者も力強いメッセージを自分の声で伝えていたことにとても感動したと語り、その努力を称えた。
大学生部門
予選を勝ち抜いた実力者たちだけに、語彙力や発音といった点だけでなく、表現力も高く話す内容もメッセージ性の強いものが多く見られた。また今回の大会では、社会的な問題といったものよりも、自分の内面を見つめたもの、人とのつながりの大切さといったことに焦点を当てている内容が多く見られたのも、コロナ禍のさなかということが影響しているように思われた。
上級で1位となったショニ・コイルさんは、以前うつ病で苦しんでいたときに、人生に対する考え方を少しずつ変えていったことが、回復への道につながったことを語った。そして、生きることには特別な理由はいらないし、自分が愛する人たちと一緒にいることがかけがえのないことだという心を打つメッセージを伝えた。
また、オープンカテゴリーで1位となったミッシェル・チョングさんは、日本に住んでいた時に東京から横浜まで電車で通った思い出を語った。行きは通勤ラッシュで苦しんだが、帰りは空いていて同じ電車なのに全く別世界だとして、電車の窓から見える景色についての詩的な表現など、豊かな表現力を見せた。
大学生部門の上位入賞者は下記のとおり。
各カテゴリー1位の受賞者は、3月28日におこなわれるカナダ全国日本語弁論大会に出場する予定。
初級
1位 アンドリュー・ジャオさん (ブリティッシュ・コロンビア大学-以下UBC)
「助けを求める静かな叫び」
2位 マシュー・ハヤシ-マヘディーさん(ランガラ・カレッジ)
「これからの僕達を待つもの」
3位 ウィントン・スポールディングさん (UBC)
「空の星のように」
中級
1位 シーチャン・リーさん (UBC)
「暖かい日本語」
2位 シェリー・ジャングさん (UBC)
「指で結ぶ絆」
3位 ミッシェル・チョングさん (UBC)
「私だけのディズニーランド」
上級
1位 ショニ・コイルさん (UBC)
「生きる理由」
2位 ビアトリクス・ニュエンさん (トンプソン・リバーズ大学)
「最も欲しいのはただ温かいハグなのです」
3位 リチャード・チョングさん (UBC)
「国とは何か」
オープン
1位 ミッシェル・チョングさん
「電車の中の別世界」
2位 ソフィア・ユーさん
「他人に善意を持ってください」
特別賞
ユーフア・レイさん(ランガラ・カレッジ)
「自分の詩を翻訳するために日本語を勉強する!」
大学生部門の受賞式では羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事が「皆さんの素晴らしい発表を楽しく聞かせていただきました。今回はリモートでの開催でしたが、次回は会場で “生のスピーチ”を聞いてみたいです」とあいさつした。
また、審査員を代表してUBCのクリスティーナ・イー先生が総評を述べた。多くの出場者のスピーチの中で、厳しい状況の中でも、希望を持ち、ポジティブに捉える姿勢が語られていたことが印象に残っていると語った。そして現在の困難な状況の中、たゆまず日本語の習得に励み、素晴らしいスピーチを行ったすべての発表者に賞賛の言葉を贈った。
(取材 大島多紀子)