ジャパンボウル・メトロバンクーバー大会が3月13日、JETプログラム同窓会BC・ユーコン支部(JETAABC)によりオンラインで開催された。
同イベントは日本語を学習している高校生がチームで日本語や日本文化の知識を競うクイズ大会で、カナダでは2018年2月に初めて開催。今回が4回目となる。1チームあたり2人または3人がエントリーした。
今年はオンラインのイベントプラットフォームHopinを用いての実施となった。生徒らも、学校などで集まるのではなく、それぞれ自宅からサイトにアクセスして参加した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響の中、バンクーバー島のベルモントセカンダリースクールを含む、7校13チーム、38人の生徒が知識を競った。
午前中に開会式、予選、ワークショップを開催。続いてランチ休憩をはさみ、パフォーマンス、在バンクーバー日本国総領事館から日本関連プログラム紹介、決勝、表彰式と盛りだくさんの内容だった。
開会式には箏のアニソン演奏も
開会式にはアメリカ、オハイオ州のコロンバス箏アンサンブル(The Columbus Koto Ensemble)が息の合った演奏を披露した。曲目は『GRADATION~風の彩』と『ムーンライト伝説』。『ムーンライト伝説』はアニメ、セーラームーンのテーマソングで日本が好きな人にはなじみが深い。アップテンポな曲で式を盛り上げた。
続いてあいさつした羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事は、参加者に「新型コロナウイルスが収束して、皆さんが日本を訪問する日を、日本はお待ちしています」と呼びかけた。さらに、JETプログラム同窓会BC・ユーコン支部に、カナダにおける日本の文化理解を促進する努力について感謝の言葉を贈った。
ラジオ体操でウォームアップのあと、クイズの予選が始まった。予選では合計40問の問題に対してバーチャルの“チームルーム”内で、チームメイトと話し合って回答を決める。それをチームを代表して一人がGoogle quiz formで提出。予選での上位3チームが決勝に進んだ。
ジャパンボウルでは漢字、ひらがな、カタカナ、英語、ローマ字など回答の形式も決められている。たとえば、漢字で答える問題では、漢字が分からずひらがなで回答したため得点とならないケースもあった。
日本文化を紹介するワークショップやパフォーマンス
インストラクターを招いてのワークショップも行われた。今年は折り紙、書道、和菓子の3つで、折り紙はピカチュウと今年の干支の牛の折り方を紹介した。
ランチの間には、Dahaza(ダハザ)による尺八と和太鼓の演奏ビデオなども楽しむことができた。アルバータ州カルガリーで活動するMidnight Taiko(深夜太鼓会)は、冬のカルガリーを背景に勇壮なパフォーマンスをビデオで披露した。
午後の部は、バンクーバー総領事館が行う映画上映や弁論大会などのイベント、日本への留学、JETプログラムや交換留学プログラム、ワーキングホリデーについてのプレゼンテーションで開始。総領事館のスティーブ・シュバリエさんが説明した。
問題は時事からポップカルチャーまで
決勝戦には3校が進出。チーム全員が回答する筆記方式と早押しの2部構成で戦った。
問題は総理大臣の名前や、はやぶさ2、東京オリンピック・パラリンピックなどの時事問題から、地理、嵐やniziUといったポップカルチャー、昨年から大ヒットしている鬼滅の刃に関するものまで多岐にわたり、高校生の広範囲での知識が試された。
2021年ジャパンボウル・メトロバンクーバー大会最終結果
- 1位 R.A. McMath Secondary School(リッチモンド)サヤインゲン
- 2位 Burnaby North Secondary School バイキンマン
- 3位 New Westminster Secondary School 天神
優勝したチーム“サヤインゲン”は7月11日に開催されるジャパンボウル世界大会に進出する。
工夫を重ねてオンラインでのクイズ大会を実現
ワークショップや講義のオンライン化と異なり、イベント、それもクイズ大会のオンライン開催ということで、難しい問題があったと想像できる。たとえば、“カンニング防止”について、どのように行ったのか、組織委員会に聞いた。
ジャパンボウル・メトロバンクーバー大会組織委員会では、全米ジャパンボウルに相談。オンラインでは完全に防止することは不可能ではあるものの、できる限りカンニングできないようにしたという。
・予選では各チームにモニターを付けた
・参加する生徒たちは常にビデオをオンにして様子が見えるようにした。“デスクチェック”を複数回行い、机の上に何も載せていないことを確認
・手の届く場所にスマートフォンを置いておくことを禁止
・予選は全て録画して、ビデオ確認できるようにした
・参加する生徒全員が正々堂々と大会に参加するよう誓約書の提出を義務化
などの対策を行った。
オンライン大会の準備は昨年の秋に開始した。2018年からジャパンボウル大会を始めて今年で4回目ですが、これまでと全く異なるものでした。想像をはるかに超えて、準備をしなければならないことがありました。イベントを無事にやり遂げることができたのは、参加した生徒や先生、ボランティア、スポンサー、日本のパートナー、組織委員会のメンバーなどすべての関係者のおかげです」と感謝した。
ジャパンボウル
高校生が楽しく日本語を学ぶ機会をつくることを目的に、日本語や日本文化の知識をクイズ形式で競う大会で、1992年にワシントンDC日米協会が始めた。現在はカナダ、ポーランド、イギリス、イタリア、メキシコ、セルビア、ブルガリア、フランスなど世界各地で開催している。日本語を母国語とする生徒、家庭で日本語を話す生徒は参加することはできない。
(取材 西川桂子)
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