カナダde着物
第17話 季節*霜止出苗(しもやみてなえいずる)
ようやく霜が降りない朝が来まして、暖かく良いお天気が続いています。桜を愛でる毎日、こんなに観賞しているのは久し振りかも知れません。
コロナ禍で自宅での時間が長くなりました。友人たちと外で会うことが必然となり、自然を目にする機会が例年より増えています。
バンクーバー地域では、年によっては肌寒く、雨で桜がすぐに散ってしまうこともあります。そのような年は私の出身地、静岡駿府公園の桜を懐かしく思い出します。
私の母校は城内お堀の目の前にあったので、いつも卒業式や入学式は満開の桜の下でした。娘たちのカナダでの卒業式は6月ですが、家族の記念写真はひと足早く桜と一緒に収めました。
こちらへ移住して長くなりますが、今でも桜の咲くこの時期は、特別な想いがよみがえります。
「春の柄や文様」
春は桜の他にも様々な植物が芽を出し始め、目を愉しませてくれています。着物には、そのような季節の草花を図柄にしたものが多くあります。
桜、藤、春牡丹、菖蒲、杜若(かきつばた)、などなどが春の植物文様の代表的なものです。振袖や訪問着では、その美しい文様が大きく描かれますので、カナダ人の方々にも人気のようです。
“混合柄”といいまして、春の植物に他の文様(*1)が混合されているものもあります。その場合は、抽象画として扱われますので、1年を通して使用できるそうです。
桜に関しては日本を代表する柄となりますので、こちらも通年使用ができます。着物柄の王道ですね。
「着物deお花見」
先に申しましたように今年の春は晴れの日が多く、時間の余裕もできました。そこで、友人とのお花見を思い立ちました。近所にあります割烹料理レストランStem(*2)さんでお弁当を注文しまして、お茶のセットを持参し、すぐ横にある公園で野点風にピクニックをしてきました。
着物は汚れても気にならないお値打ちもの(いわゆる低額のポリエステル着物です)。こういった着物を四季それぞれに持っていましたら、とても便利です。帯は半幅帯で、飾りとして帯締めをしています。
毛氈(もうせん)の代わりに赤いテーブルクロス、茶道でお茶箱用に使う可愛い茶碗を二つ、茶筅、保温水筒のお湯、あとはお菓子とお抹茶があれば、ミニミニお茶会がいつでもどこでも開けます。(*3)
もちろん、ご自宅のお庭でも愉しめますよ。
文様(もんよう)(*1)表面に装飾された図形。同じ図柄の反復繰り返しによって構成されるものをいうことが多い。伝統文様、和柄文様、有職文様、吉祥文様などがある。
Stemステム(*2) バーナビーにある日本食レストラン Stem Japanese Eatery https://stemjapanese.ca/
茶会(*3) 茶会には西洋式のお茶とお話を楽しむもの、様式や伝統に沿った茶道がある。近年では茶道の道具を使いながら、屋外での野点やテーブル式でお抹茶を愉しむスタイルも定着しつつある。
***引用***
暮らしの歳時記 http://www.i-nekko.jp/
着物の柄*春 https://www.kimono-gara.com/season/haru/april/
コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。通常でしたらお寺で学ぶ和の学校ですが、今年はオンラインで初めて試みることにしました。お家から是非ご参加下さい。
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持に為に使われている。
カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。
和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
Facebook https://www.facebook.com/tomoko.kona.98
Instagram https://www.instagram.com/konatomoko/?hl