ブリティッシュ・コロンビア(BC)州の歴史や多文化を祝う休日「BCデー」。州政府が1996年に、8月第1月曜日をBCデーとして、正式に休日とすることを定めたものだが、数年前から8月が近付くと、州の名称を変更しようという議論が注目を集めるようになっている。
「ブリティッシュ・コロンビア」の州名がアメリカ大陸を発見したクリストファー・コロンブスにちなんだものであるためで、コロンブスは「先住民の土地を奪い、虐殺した人物」との認識が近年、北米各地で広がっている。
虐殺者の名前を州名とするのはおかしいと、新しい州名候補の一つとなっているのは「S’ólh Téméxw(ソウル・トウモック)」だという。
「S’ólh Téméxw(ソウル・トウモック)」はクワントレン族の言葉で「我々の土地」もしくは「私たちの世界」を意味する。BC州(本土側)が1858年にイギリス植民地となる宣言が行われたのがフォートラングレーで、その一帯に住んでいたのがクラントレン族だったことから、この案が生まれた。
カナダ国名および一部の州名は先住民の言葉に由来する。
語源 | |
カナダ | イロコイ族の「村落」を意味する「カナタ」 |
オンタリオ | イロコイ族の「大湖・美しい湖」「オニタリオ」 |
ケベック | アルゴンキン族の「川の狭まるところ」、「ケベック」 |
マニトバ | アルゴンキン族の「霊魂の出す音をもつ海峡」、「マニトバ―」 |
サスカチュワン | クリー族の「流れの速い川」、「キシカチュワン」 |
カナダで土地の名称が、先住民にちなんだものに変更されることは珍しくはない。BC州ではクイーンシャーロット諸島と呼ばれていた州北西部の群島が、2010年にハイダグワイに改称された。ハイダ族の歴史を尊重しての変更だった。
さらに、今年7月にはバンクーバー市議会が「Trutch Street」 の改称を決めた。州の副総督だったJoseph Trutchにちなんだ通りの名前だったが、Trutchは植民地時代の指導者であり、先住民を差別したと考えられているためという。
ブリティッシュ・コロンビアの州名も変更される日が近い将来にくるのだろうか。