日系文化センター・博物館(日系センター)が7月31日に光と音とアートを楽しむイベント『Dream State』を開催した。新型コロナウイルス感染拡大による規制の緩和が始まって以降初めての屋内イベントとなったが、参加者やアーティストらは楽しんだようだ。
ロビーでタカ・スドウさんのアート作品の展示、イベントホールでプロジェクションマッピング技術を用いて投影されたアートとテクノサウンドというイベント。プロジェクションマッピングはGenki Nishidaさん、サウンドは日本でも活躍した音楽プロデューサーのレニー・フォスターさんとエレクトリックミュージックのThe Passengerが担当した。
ロビーとホールには座ることができるエリアやビールやワインなどアルコール類を購入できるバーも設置されて、参加者はゆったりとした夏のひとときを満喫。イベントには168人が訪れ、アーティストが演出した幻想的な世界に浸った。
40歳代女性は「エレクトリックミュージック、テクノサウンドということで、どんな感じなのかな? ハードな音楽なのかな? と中に入るまでどんなイベントなのか想像がつきなかったのですが、心地よいサウンド、映し出される写真と光でまさに夢の世界、Dream Stateでした」と語った。
パートナーと一緒に訪れたという男性は「ホール内はアートのショーということで展示会なのかと思いましたが、音楽に合わせてのプロジェクションマッピングでした。ビールを飲みながらアートと音を楽しむという、初めてのタイプのイベントでおもしろかったです」と満足げだった。
日系センタ―事務局長ケーラ後新門フォスターさんは「デジタルプロジェクションやマルチメディアのビジュアルアート、モジュラーシンセサイザーを用いた音楽といった優れたアートとモダンでアバンギャルドな音楽。没入型イベントDream Stateは日系センターに快適でリラックスした雰囲気を届けるというものでした」と語った。
「日本人、カナダ人、バーナビーを拠点にしたアーティストに参加していただいて、このような最先端のイベントを開催できたことをうれしく思っています」とコメントした。
画像や光で作り出すアートプロジェクションを担当したGenki Nishidaさんは「いつもはクラブでのイベントに参加することが多い友人たちから『Dream Stateは雰囲気が違っていて楽しめた』と好評でした」という。
そして「新型コロナウイルス感染拡大の規制が少し緩和されましたが、屋内でのイベントは会場定員の50パーセントで、ホールにもテーブルや椅子を、距離をとって設置していました。それが今回の音楽やプロジェクションを楽しんでいただくのに『バッチリ合った』と感じました」と笑った。
ロビーで蛍光ペイントを用いた印象的なアート作品を展示していたタカ・スドウさんは「パンデミックでイベントができなくなっていたので、久しぶりにイベントに参加すること自体が新鮮でした」と感想を述べた。
「ホールで流すサウンドや音楽を聞かせてもらうなどして『非現実的』な世界観だったので、日系文化センターの外が『現実』として、ロビーを非現実と現実の中間地点『非現実世界を中和するもの』にしようと考えて作品を制作しました」という。展示作品は今回のイベントDream State用に特別に準備した。
「僕たちはエッセンシャルワーカーではなくノンエッセンシャルです。でもアーティストは逆境を乗り越えようとすることで伸びると思っています。感染拡大からスタジオで制作を続けていましたが、ようやくこのようなイベントに参加させていただいくことができてうれしかったです」と感想を述べた。
(取材 西川桂子)
合わせて読みたい