カナダde着物
第26話 季節*秋分の日
今年の十五夜は中秋の名月と同じ日で、9月21日でした。暦上と天文学上の満月が重なったようです。グレーターバンクーバーエリアでは綺麗な満月を見ることができました。
ファーストネーションの文化では「ハーベストムーン」と呼び、収穫の時期に日没と入れ替わりに出る明るい満月は、農作業をする人々を助けたそうです。
そして、9月23日の秋分の日(*1)は、昼間と夜がほぼ同じ長さとなり、春分の日と同様、古代から特別な習慣や儀式が行われています。
メキシコでは、「ククルカンの降臨」(*2)と呼ばれる現象がピラミッドで見られるそうです。大蛇が現れる瞬間を一度は見てみたいものです。
日本では秋のお彼岸に入ります。カナダでは見ることがないのですが、真っ赤な彼岸花(*3)は美しいですね。
自宅でも作ることができそうな餡子で包まれたおはぎは、シンプルですが懐かしい故郷の味がします。
さて、今宵は何をしましょうか。
「天高く*秋ひとえ」
6月から単衣(ひとえ)や薄物を愉しんでまいりまして、いよいよ10月からは袷(あわせ)の着物となります。
9月は単衣の着納めの月でしょうか。贅沢ですが、9月だけに着る「秋ひとえ」と呼ばれる着物があります。同じく、6月にも「紗合わせ」という着物もありまして、季節限定でとても素敵です。
カナダでの9月の空は、時に晴れ渡り澄み通った青い空で「インディアンサマー」と呼びますが、個人的には秋の蒼色が好きです。名残惜しい青空を連想させるからでしょうか。この時期は、織りのものや御召(おめし)(*4)が合いそうです。
先日、お寺で一周忌法要がありまして、故人を偲ぶ気持ちを秋ひとえに表してみました。いつまでも私達のお稽古を見守ってくださるお茶人を想いながら手を合わせました。(合掌)
*1 秋分の日
二十四節気の「秋分」に入ります。
秋分の日は、昼夜の長さがほぼ同じになる日で、この日を境に日が短くなり、秋の夜長に向かう。雑節の「彼岸」の中日でもあり「祖先を敬い、亡くなった人をしのぶ日」として国民の祝日になっている。秋の彼岸は、春の彼岸に対して「後の彼岸」「秋彼岸」とも呼ばれる。
*2 ククルカンの降臨
マヤ文明と太陽のコラボレーションによる一大イベント。 ククルカンとは、羽毛をまとった蛇神のこと。 巨大なククルカンが年に2度、晴れた日限定で、天から地へと降臨する。
遺跡ときどき猫さんから
http://isekineko.jp/tyubei-kukulukann.html
*3 彼岸花(ひがんばな)
別名は「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」で、サンスクリット語で「天界に咲く花」を意味する。おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくる、という仏教の経典からついた名前である。
*4 御召(おめし)
御召着物とは織りのきものでの一種で、小紋と紬(つむぎ)の中間のよそゆき着である。男性、女性ともに御召はあつかわれていて、男物の無地御召の場合は一つ紋を入れると茶席やフォーマルなど略礼装として活用される。光沢とシャリ感があり、高級感があるコーディネートを楽しむことができる。
***引用***
暮らしの歳時記 http://www.i-nekko.jp/
婦人画報 「秋ひとえ」 https://www.fujingaho.jp/uts-kimono/essay/g37605319/kimono-takashimaya-akihitoe-210918/
着物用語大全 http://www.so-bien.com/kimono/
コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。和の学校オンラインサロン*無料*は、対面式が始まりましたので、不定期で開催することになりました。次回の開催日と内容につきましては、後日お知らせいたします。
その折には、是非ご参加くださいますよう宜しくお願い申し上げます。また皆さまとお会いできることを楽しみにしております。
*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。
カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。
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