日本では自民党総裁選で岸田文雄氏が自民党の新しい総裁として選出され、10月4日の国会で総理大臣に指名された。総裁選と岸田新総理へ取り組んで欲しい問題などについての桂川雅夫さんの投稿。前編に続いての後編になる。
2021年9月30日
桂川 雅夫
日本の現状についてであるが、日経ニュースメールによれば、2019年?OECDの発表では、2019年の一人当たりの労働生産性では、日本は先進7カ国(G7)中、最下位の26位で、1位はアイルランド、2位はルクセンブルグ、3位は米国と云う発表だそうた。別の話題では韓国が、9月6日に、新型コロナの長期化を受けた「国民支援金」の支給を始め、僅か2週間で対象者の9割に配り終えたが、昨年の日本ではその約5倍の期間を要した、と云うやはり日経ニュースメールの9月26日の報道があった。
そのことに関連して、韓国知能情報社会振興院の文龍植院長に聞いたことを下記の様に伝えていた。即ち、「電子政府」成功の鍵は「業務プロセスの革新にある」と云う事と、その要因は3つあり、大統領の強力なリーダーシップ、情報通信(IT)技術の適切な導入、法や制度、予算による実行の裏づけであると説明されていた。
又、別の機会の報道では、韓国は2020年には国連の電子政府ランキングで世界で第2位、日本は第14位となっているという話もあった。更に、日本現状でのIT技術者数は、米国の1割だと云う報道もあった。若しもそうだとすれば、米国と日本人口比で論ずれば、日本IT技術者を米国並みに増やすには、日本の現在の3.8倍にする必要が有る、と云う事になるが、韓国の現状等を含めて、これらの話題は今回の自民党の総裁選では、この様な点があまり論ぜられなかったが、日本の政治家たちは認識しているのだろうか。
同じような話題で恐縮だが、日本の企業の時価総額は、1989年には世界の上位50社中に32社が入り、1位から5位までは全て日本企業だったが、2019年4月には、世界50社に入るのは、第43位のトヨタ自動車一社だけとなった。又日本国民の平均所得は同じ時期で、世界第1位であったのが、2019年は24位まで下がり、ルクセンブルグが日本の約3倍額で1位だ。日本のはGDPこのところ約550兆円強ぐらだが、米国は昨年2,040兆円なので、人口比で云えば日本が800兆円ぐらいあっても良いのではと思われる。
そのためにはGDPの約半分を占めるという個人消費が、400兆円となる必要が有るが、125兆円増には国民の消費財源の許なる所得増が必要だ、そのためには日本人の所得が約45%ぐらい増えねばそうはならないのだとすれば、単純計算でいえば、先ずスタートの大学卒の初任給が、このところ長い間月額約20万円ぐらいなのを、30万円ぐらいまでに引き上げなければ、そうはならないという事だ。
以上の様な日本の実態と目指す目標を頭において、自民党総裁選で検討対象にならなかったことまとめると、先ず遷都の構想などは全く論ぜられなかったが、予告されている関東や南海トラフ地震の対策は最重要課題だと思う。次に日本企業の時価総額問題の回復、北方領土問題、引きこもり問題、難民問題、東洋の金融センター問題、上記した様な若者に政治参加意識を持たせる制度改革等であると思う。
一方多少論ぜられたが、あまり深く論ぜられなかった問題としては、人口減少対策と移民や難民問題、30年来解決しないデフレ脱却問題だったと思う。高市候補は物価を2%上昇させるとは云うが、その方法を示してはいなかった。遷都につぃて言えば、テレワークで東京の人口が少し減ったから良いではすまされない、近い将来未曽有の災難を引き起こすであろう大地震対策として遷都を検討するべき時が来ていると思う。起きてしまってからでは遅い、今からそれを論じ実行に移すことは、日本にとって最大の課題だったと思うが、今回そういう大型の事業を決断し実行する様な首相候補が、現れなかったことを残念に思う。
政治家がすべての論題で専門家と同じレベルの知識や経験を持つという事を期待するものではないが、日本の政治や日本の企業が、国際的にこのところあまりにも遅れてしまっている点を、先ず謙虚に認識すべきだと思う。どうしたら取り戻せるのかの対策を指導者は示すべきだと思う。そういう認識があれば、東洋の金融センターの話で昨年あった、東京と大阪と福岡を競わせるという様な、「井の中の蛙大海を知らず」と世界の笑われ者になる様な政治家は現れないはずだ。
日本のお役人は優秀な人材の宝庫のはずだが、時間と共に前例主義になり、結果として新しいことに挑戦しなくなりであり、或いは適任でない政治家の大臣たちのための質疑応答用の、資料作成で徹夜で働いたり、口合わせのために書類改竄を強いられ、それを無念として自殺をした等というニュースを聴いて、本当にお気の毒に思う。現状維持に陥りやすい日本の役人の限界を認識して、米国の様に専門家の集まりのシンクタンクを積極的に活用し、政治家以外の専門家が大臣を務めるとか、適材配置を以って日本が失地回復をはからねばならない時代になっているのではないのだろうか。そういう意味でデジタル庁に専門家の平井大臣を就任させた菅内閣は、日本の政治のこれからの姿を先取りしていたと思う。
(完)
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