大掛かりな調査
私たちは毎日インターネットを始めとして、多くの媒体が発信する情報の波に翻弄されている。
だがこうした情報は賢く使えば非常に便利で、ウェブサイトなどで詳細が簡単に手に入ることもあり、これからも益々利用者が増えこそすれ衰退することはないだろう。
しかし、統計などを見る時「何々会社の調査によると~」というデータがあると、その会社名が世に知られた組織である場合は、名前を見ただけで数字を鵜呑みにして信じることもあるので要注意である。
そんな負の面があることを思いながらも、つい先日Victoria Foundationと呼ばれる基金が「VITAL SIGNS: Greater Victoria’s Annual Check-up」(https://victoriafoundation.bc.ca/vital-signs/)と称する調査結果をまとめた統計を入手した。
大学ノート大の冊子(写真)は、図書館や公共の場所に置かれている。とても体裁のよい仕上げで、出版にあたってはかなりの費用が掛かっていることが見て取れるが、これが何と無料で誰でもが持ち帰ることが出来るのだ。
ページをめくるとスポンサー名がズラッと並んでおり、メディアの大御所Black Press Media、大手銀行CIBC、高級スーパーマーケットCountry Grocer、ビクトリア商工会Greater Victoria Chamber of commerce、歴史のある高級老舗の眼鏡店maycockeyecare等など10個ほどの会社や機関の名前が散見される。
調査の詳細
この調査は2005年から実施されており今年は16年目に当たる。ではその内容はと言えば、ビクトリア市(以下V市)とその近郊に住む人々の生活一般に関する広域な実情調査の結果を、豊富な写真や統計を屈指して仕上げている。
* 対象:3757人。性別:女性53%、男性44%、両方に属さない人1%。
* 年齢:34才以下25%、35‐54才31%、55⁺44%
* 年収:最高額$10万1000‐27%、$5万~8万‐25%、最低額$2万‐6%
* 人種:白人84%、東アジア人/先住民3%、南アジア人/黒人2%、ラテンアメリカ人/アラブ人/東南アジア人/各種混血1%
* 職業:失業中37%、(パンデミックの影響のため高率と推察される)民間企業30%、政府/公共機関23%
* 以上のような人々が、12の調査項目に関してそれぞれが示したレイトをまとめたものが以下のような結果になっている。
①Art&Culture(B) ➁Belonging&Engagement (B⁻)③Economy(B⁻) ④Environmental Sustainability (B⁻)⑤Getting Started(D⁺) ➅Health &Wellness(B⁻) ➆Housing (D⁺)➇Learning(B⁺) ⑨Safety(B⁻) ⑩Sports & Recreation(B⁺) ⑪Standard of living (B⁻)⑫Transportation (B)
ページを繰りながらじっくりと詳細を見ると、かなり均衡のとれた調査と言えるようだ。
調査の結果
さてそれではV市がどんな街かをレイトの順からまとめてみると「A=0、B⁺=2、B=2、B⁻=6、C=0、D⁺=2」ということになり、総合点は「B」ということである。
だがこの結果が果たして他の町と比べて「良いのか悪いのか」は判断の難しいところである。もし全く同じ調査を他の地域でも実施して、それを持って云々するなら別であるが、さもなければ比較は無理というものだ。
またこうした指標は、それを武器にして論陣を張る人の都合によって解釈がよくも悪くも捻じ曲げられることもある事を考慮しなければならない。だが、ここではこれが現在のV市の実態である事をお知らせするに留めるとしよう。
サンダース宮松敬子
フリーランス・ジャーナリスト。カナダに移住して40数年後の2014年春に、エスニック色が濃厚な文化の町トロント市から「文化は自然」のビクトリア市に国内移住。白人色の濃い当地の様相に「ここも同じカナダか!」と驚愕。だがそれこそがカナダの一面と理解し、引き続きニュースを追っている。
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