声楽家でさくらシンガーズ音楽監督・理事長も務めたルース鈴木さんが10月29日、死去した。84歳だった。葬儀は12月4日を予定している。
日本統治下の台湾で生まれた鈴木さんは、高校生のときにオペラのアリアの独唱で台湾放送局のコンクールで優勝する。1967年にカナダに移住。バンクーバー・オペラのオーディションに合格して活躍する。
その頃、日本からの新移住者の間で日本の歌を歌うための混声合唱団が結成され、鈴木さんの指導で練習を始めた。合唱団は1973年に名称を『さくらシンガーズ』として、各種イベントへの参加や高齢者施設の訪問をはじめ、日系コミュニティで活躍してきた。
ダグラスカレッジでも1979年9月から2003年6月までの約24年間、声楽の指導を行った。
葬儀は12月4日、ダウンタウンのクライストチャーチ(Christ Church Cathedral)で行われる。
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さくらシンガーズ
1970年の創設以来、51年にわたりさくらシンガーズを指揮、指導をしてこられたルース・鈴木先生が10月29日、永眠されました。 生涯、音楽を愛し、当地での音楽シーンでの牽引者となり、多くの人々に音楽の楽しさを教え続けた鈴木先生の功績と先生のあたたかいお人柄は、多くの皆さんの心に残る思い出となることと思います。
新見日系ホームで開催された「鈴木先生と歌おう」でのルース鈴木さん。Photo courtesy of Nikkei Seniors Health Care and Housing Society (NSHCH)
日系シニアズヘルスケア協会の渡瀬容子さん
突然の訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。 鈴木先生には長年にわたり、新見日系ホームで月2回の「鈴木先生と歌おう」というプログラムを開催していただきました。
このプログラムは日系ホームで長年行われていました。しかし、パンデミックの影響でプログラムは中断しています。
私たちはもう鈴木先生の笑顔を見ることができませんが、活動を再開するときには、私たちの歌声を空高く届けたいと思っています。ご家族の皆様には、感謝と哀悼の意を表します。
鈴木 麗子〔ルース〕
略歴
オペラやコンサートで幅広い経歴を持つソプラノ歌手であり、声楽の教師でもある。
バンクーバー・オペラ、エドモントン・オペラ、コートニー・ミュージックフェステイバル、ビクトリア・サマーフェステイバル等では中心的役柄を演じ、秋山和慶、アントン・グアッダーニョ、メレデイス・デイビーズ、ピエール・エッチュー、ラズロ・ガッテイ等、数多くの著名指揮者とも共演している。
オペラでの活躍に加え、コンサートにおいては、さまざまな合唱団とのオラトリオでもソロをすると共に、ソロリサイタルも数多くこなしている。23年間ニュー・ウェストミンスターにあるダグラスカレッジの声楽科で教鞭を執る傍ら、さくらシンガーズと慈済女声合唱団の指揮として活躍してきた。
さくらシンガーズの指導は1970年以来。また、NAVコーラスとブランカ・シンガーズも指導していた。2011(平成23)年外務大臣賞受賞。
葬儀 Christ Church Cathedral(ダウンタウンのBurrard Street)
日時 12月4日(土) 3:00pm~
(取材 西川桂子)
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