ジャスティン・トルドー首相が12月8日の会見で、北京冬季オリンピック・パラリンピックの外交的ボイコットを明らかにした。2022年2月に予定されている北京五輪、3月の北京パラリンピックに、カナダは政府関係者を派遣しない。外交的ボイコットなので選手団は派遣の予定。
トルドー首相は「過去数カ月間、北京オリンピック・パラリンピックについて同盟国と協議してきた」とした上で、「中国政府が人権侵害を繰り返し行っていることに強い懸念を抱いている」とボイコットの理由を述べた。
北京大会へのボイコットは6日にまずアメリカが発表、オーストラリア、イギリスがアメリカに続いた。カナダは4カ国目の北京五輪ボイコット国となった。
これに対して中国外務省の汪文斌報道官は9日の定例会見で、アメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダは、政治的駆け引きにオリンピックを利用していると非難した。
「スポーツと政治は無関係」として、4国は「支持を受けることができず孤立する。代償を払うことになるだろう」と述べた。また、招待されていないのに関係者を送らないというのは、自作自演の茶番と強い言葉で反発を示した。
カナダと中国の関係は近年、悪化している。カナダで2018年に中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟氏が拘束されたためで、その直後に中国は、カナダ人の実業家マイケル・スパバ氏と元外交官マイケル・コブリグ氏を中国が拘束した。
今年9月に孟氏が釈放され、その数日後に二人のカナダ人も解放されたことで、二国間関係改善の期待もあったが、ボイコットにより困難になった。