オミクロン株の突然の出現で、12月初めから各国の入国制限が厳しくなった。日本入国では、新型コロナウイルスのオミクロン株感染者が確認された国・地域から帰国した場合は、検疫所が確保する宿泊施設等で一定期間待機し、検査を受ける必要がある。
カナダの場合は、12月1日からオンタリオ州からの帰国者は3日間の施設待機となったことを皮切りに、12月3日からはブリティッシュ・コロンビア州、アルバータ州、ケベック州が、12月17日からはニューブランズウィック州、ノバスコシア州が加わった。
カナダから12月初旬に東京に到着した女性に、帰国準備に必要なもの、入国時の状況、3日間の指定施設での待機について話を聞いた。
大変だった帰国準備
1.陰性証明、検査は涙が出るほど痛かった
大変なのは帰国準備でした。バンクーバー領事館から来ていたEメールにあった厚生労働省のウェブサイトをチェックして、必要な準備が何かを確認しました。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00209.html
まずは、新型コロナウイルス検査を受けて、日本の検査証明書を発行してくれる検査機関を探しました。これまで日本に帰国した人に聞いたり、バンクーバー領事館の情報をたよりにして、電話で確認して予約。出発の2日前に検査を受けました。翌日にはEメールで英語の陰性証明と日本政府指定書面での陰性証明が用意できましたと通知が届きました。指定された方法で確認、両方とも印刷して陰性証明は準備完了。不安がひとつ解消されて一安心でした。
それにしても、検査は痛く、終わったあと涙が出ました。陰性証明は、空港でのチェックイン時と、日本の空港に着いて書類チェック時に、提示しました。提出する義務はなかったようです。
ちなみに利用した検査機関は、バンクーバー市にあるIridia Medical。日本行きの人には日本政府指定の陰性証明書を用意してくれると電話で教えてくれました。追加料金なども必要なかったので自宅から近いこともあり、決めました。帰国が急に決まり、日曜日に電話して検査機関を探したので、日曜日が休みのところは電話で聞くことができませんでした。
2.アプリのインストールと質問票の準備
陰性証明以外の準備として、日本政府指定のアプリMySOSとCOCOAをスマートフォンにインストールしました。特に問題なくインストールできたので、スマートフォンのレンタルは必要ないなと思いました。
そのほかには、質問票をパソコンから事前に入力しました。最後にQRコードをスクリーンショットしておくようにと出てきたので、スマートフォンでやればよかったと思いました。
提出する必要がある書類も印刷して準備していましたが、飛行機の中で配られたので、必要なかったなと思いました。
3.バンクーバー空港からの出国は通常通り
バンクーバー空港では、チェックインの時に陰性証明とワクチンパスポートの提示を求められたほか、必要なアプリをインストールしているか確認されました。
荷物を預けて、いつも通りの国際線出国のセキュリティでチェックを受け、ゲートへ。特に新型コロナ対策はありませんでした。
4.搭乗中に座席を変更
飛行機の後方に座席を取っていたのですが、搭乗してみると周りに人が多く、その少し前にはあまり座っていなかったので、座席の移動をお願いして移りました。
帰国前の準備で質問票に座席を記入する箇所があり、座席を移動すると質問票と合わないなと思いましたが、入国時に伝えれば大丈夫だろうと気にしませんでした。
予想以上に待ち時間が長かった羽田空港での入国
羽田空港に到着すると指示があるまで降機できず、降りてからも通る場所が決められていて指示通りに進むと、準備した書類の確認がありました。そこで新型コロナ検査のための書類が渡されます。
その検査用の書類を、とにかく、何回も何回も確認をするチェックポイントがあります。数えていなかったので正確には分かりませんが、全部で10回くらいあったのではないかと思います。カバンに入れたりするとめんどくさいです。
検査までには、書類の確認のほかに、MySOSの使い方の説明や、指定施設での隔離対象者には宿泊施設について話がありました。ただ、この時点でどこの施設に行くのかなどの説明はありませんでした。
新型コロナの検査を終え、指定施設の隔離者とそうでない帰国者が分かれて結果を待ちます。
空港で待っている間はとにかく寒く、ここで風邪をひいたらどうしようと思っていました。予想以上に多くの人が待っていたので、フィジカルディスタンスも取れていなくて、風邪をひいてもコロナを疑われるため帰国前から体調に気を使っていたのに、ここで風邪をひいては台無しと思いました。空港で待たせることが分かっているなら、もう少し気を使ってくれてもよかったのではないかと思います。
検査結果が出てから到着口に移動です。この時、同じバスに乗って移動する人はまとまって移動しました。待ち時間の長さは、検査結果が出るのを待っているというよりは、移動するバスの手配を待っている感じがしました。
まとまって行動する以外は、ここからはいつもの入国手続き。荷物を取り、免税申告書を提出して、晴れて入国。すでに夜中の12時半。ここからバスで隔離施設に移動です。
飛行機が羽田に到着したのが午後6時45分ごろなので、到着から入国までに約6時間かかりました。
どこに移動するかを知らされたのは、バスに乗り込んだあとだったと思います。20人が一緒に移動すると告げられ、「これから『横浜のホテル』まで移動です、約30分で到着する予定です」と言われたのは覚えています。「これからまだ横浜まで移動するのかぁ」と思いました。でも、まあ、1時半ごろには部屋に入れるだろうと思っていましたが、まだまだ甘かったです。
バスは予定通り1時すぎごろにホテルに到着しましたが、私たちより前にホテルに到着している隔離者の入室手続きが終わっていなかったため、バスの中で1時間ほど待機となりました。2時を過ぎてようやくホテル入室手続き。隔離中の注意事項などを説明され、部屋に案内されたのは、午前3時ごろでした。
それでも、夕食用のお弁当を用意してくれていたのは、助かりました。機内食2食目、それもサンドイッチを食べてから、10時間以上がたっていましたし、久しぶりの帰国で初めての食事がお弁当とはいえ和食だったのはうれしかったです。
意外と快適だった3日間の隔離生活
さあ、ここから3日間の隔離生活の始まりです。到着した日は0日ということで、翌日から1日目となると説明されました。翌朝は早くに目が覚めました。前の日が遅かったのに、やはり時差ボケでしょう。
まずは、スマートフォンを部屋のWi-Fiにつなげて、MySOSアプリに備えます。MySOSは隔離期間中も対応する必要がありました。それとは別に、入室手続き時に渡される体温計で毎朝体温を測定して、ホテルが指定する方法で体温を申告する必要もありました。
Wi-Fiは使い放題のようで、パソコンを持っていれば動画も普通に楽しめたようです。部屋はコンパクトなビジネス仕様のシングル部屋で、その割には大きなベッドと巨大なテレビが付いていました。テレビは映画や音楽も無料で利用できて、暇をつぶすにはちょうどよい感じでした。
待機中、食事は1日3回、運ばれてきます。滞在したホテルでは、ドアの外側の取っ手にビニール袋に入れてかけてありました。準備ができると「準備ができました。取っ手にかけてある食事をマスクをつけて取ってください」と館内放送がありました。
昼食時と夕食時にはお水のペットボトルも一緒に配られます。お水など追加でほしい場合は、電話をすると持ってきてくれました。ただお茶のペットボトルをお願いすると、それは無理と言われ、代わりに粉末のお茶ならいくつでもくれるようでした。
特にすることがないので、テレビを見たり、パソコンで仕事をしたり、幸い景色がいい場所だったので、景色を見ながら食事をしたりして、時間をつぶしました。3日間なので、外出できなくてもそれほど苦痛ではなく、問題はありませんでした。ホテル内にはコインランドリーもあって、必要なら隔離中でも利用できるようでした。
さらにデリバリーや家族・友人からの差し入れもOKでした。ただ直接受け取れるわけではなく、ホテルが受け取って届けてくれるようです。アルコールの摂取はできないため、アルコールをデリバリー、もしくは差し入れしてもらうことは無理なようです。
3日間の滞在だったので、3日目の朝に新型コロナ検査を受けます。結果が陰性の場合はその日の午後2時から4時くらいの間に隔離が終了し、羽田空港に戻りますと説明されました。でもホテルを出られたのは午後4時半ごろで、羽田空港に着いたのは5時ごろ。そこで、解散となりました。
そのあとは、自身で用意した方法で残りの11日間の自主隔離場所まで移動します。ホテルを出る時間が分からないため、SIMカードがなければ、空港に迎えに来てもらう場合はホテルを出る時間が分かったらすぐにWi-Fiがあるホテルから連絡するのがいいように思いました。
カナダで今年2月から数カ月間、入国時に3日間のホテル自己隔離を自費で強制されたときには、3日間で2000ドルとかいう高い料金(実際にはもっと安くで滞在できたらしい)を払った上に、食事がひどい、水も持ってきてくれないという報道があったのですが、日本ではそういうことはないだろうと思っていたら、やっぱりその辺はしっかりと準備してくれていたのはうれしかったです。正直、1日3食3日間の食事はどれも美味しかったです。
3日間の隔離は特に問題もなく、苦痛に感じるようなことはありませんでした。指定施設での隔離にかかる経済的な自己負担もなく、自分や搭乗者が新型コロナにかかっていた場合に、この3日間に症状が出る可能性があることが報道されていることを思えば、隔離されたのは安心して自宅に帰れるための猶予期間のように思いました。
*記事中の各場面に関する感想は、情報提供者の個人的な感想です。
(取材 編集部)
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