平野のゴールでチームが勢いづいた。2−2に追いつかれた1分30秒後の第2ピリオド中盤、絶好のポジショニングで左隅からシュートしゴール。3−2とリードすると、その6分後には4点目をアシストして、4−2とコロラド・イーグルスを引き離した。
しかし、チームは第3ピリオドに2点を奪われ、試合はOTへ。最後はFWドライズ(#15)が決めカナックスが5−4で勝利した。
平野はこの試合でAHLに昇格して初のマルチポイントを獲得、セカンドスターとPlayer of the Gameにも選ばれた。
3月13日 アボツフォード・センター
アボツフォード・カナックス 5-4 コロラド・イーグルス
ゴール:
アボツフォード Rathbone、Neilsen、Hirano、Bowey、Dries
イーグルス Megna、Wagner、Sikura、Kaut
積極的なネット前での戦いを意識してゴールに
「試合前からコーチからゴール前の戦いをしっかりしなければ点数も入らないし、そこがポイントだという話があった」と試合後に語った。この日はネット前で相手ディフェンダーに競り勝つ場面が目立った。「普段から意識していること」を積極的に実践した成果だ。「いい形で(ポジショニングができて)ディフェンスがシュートを打ったものが自分のスティックに当たって入ったので、結果としてよかったと思います」と1月23日以来のゴールを振り返った。
「チームにも自分がゴール前で戦えるんだということを見せれば、チームも勢いに乗ると思うので」と意識して戦っている。
プロは結果がすべて。2月終わりごろからはしばらく出場機会がなかった。「スクラッチという試合に出れない時期もあったり、スタメンで出るのが簡単なものではないので、自分が出たときにしっかりと結果を出して、チームの勝利に貢献できるようにするのが一番のアピールだと思う」。3月9日から試合に復帰して、11日には1アシストを、そしてこの日は1ゴール、1アシストと爆発した。第1ピリオドには激しいボディチェックも見せた。猛アピールだ。
トレント・カルHC(ヘッドコーチ)は、「彼は体が大きいし、ボディチェックもかなりいい。ほかのプレーヤーを見てプレーできるところがいいと思うし、プレーヤーのこともよく把握している」と評価。ECHLから上がってきて2カ月半、まだ伸び代があると見ている。
今の好調を維持して「積極的に自分が持ってるものを見せていきたい」と平野選手。残りは19試合、自身にとっても、チームにとっても、重要なレギュラーシーズン終盤戦となる。
ボディチェックもアピールポイント、一戦一戦を大事にさらに上を目指して
試合後に会見上に姿を現した平野選手の印象は「でかい」だった。チームの公式プロフィールでは身長6フィート(約183センチ)、体重216ポンド(約97キロ)。本人は身長185センチはあると言っていた。身長もさることながら、やはり体格がいい。
この体から繰り出した、第1ピリオドで見せたボディチェックは大迫力だった。会場も一気に沸点に達した。氷上の格闘技ともいわれるホッケーでボディチェックは「華」でもある。
「結構ここ数年ああいうディフェンスに対してのプレッシャーをかけるという部分はずっとやってきてるので。ああいう形で、チームの勢い、ひとつのヒットだけで流れって変わるので、ああいうところで見せれてよかった」と狙った会心のヒットだったようだ。ただ直後の同じ状況では相手にゴールを許した。「あそこで自分がブロックしなければいけない。何回同じシチュエーションがきても、同じことができるようにこれから修正していきたい」と1点目を許した場面の反省も忘れなかった。
チームは現在ウエスタン・カンファレンスのパシフィック地区5位につけている。対戦相手だったイーグルスは同3位。11日には負けている相手。上位でのプレーオフを狙うには同チーム2連敗は痛い。カルHCも、この日の勝利は大きい、全員でつかんだ勝利だったと振り返った。
平野選手は残り試合も「今日と変わることなく、しっかり自分の名前を見てもらえるように、自分らしいプレーをしてチームに勢いを一つでもつけられるように」とこの日の活躍に浮かれることなく冷静に前を向く。「上位のチームといっても、プレーオフにはポイントで競り合ってるので、しっかりひとつでも上に行って、ホームからスタートできれば自分たちにとってはすごくいいと思います。そこを意識しながら一戦一戦大事に戦っていきたいと思います」と語った。
バンクーバーの日系コミュニティとの交流も楽しみに
1月に移籍して以来、アボツフォードでホッケー漬けの毎日を送っている。バンクーバーにもなかなか出向いて行く機会がないと言う。それでも、日系コミュニティとの交流を楽しみにしていると笑顔を見せた。
アボツフォード・センターに応援に行けば、試合後にはいわゆる「出待ち」でサインをもらえる機会もあるとか。
とにかく今はがんばっている姿を見てもらいたいと活躍を誓った。
(取材 三島直美 / 写真・映像 斉藤光一)
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