第24回「金沢の三文豪!」

金沢からこんにちは 

 こんにちは、ゲストハウスポンギーのにいなです。

 つい先日、
「金沢三文豪の記念館めぐりをするために来ました!」
というゲストさんが来られました。

 これまで宿でたくさんの旅行客にお会いしてきましたが、そのほとんどが海鮮丼やスイーツ、建築などを目的に来られる方です。
 文豪や小説好きが理由というのはとっても珍しいので驚きました。

 そんなわけで、今回は金沢三文豪をご紹介します。

ご存じですか?金沢が誇る文豪たち

 室生犀星、泉鏡花、徳田秋声。
 金沢の方ならどこかで聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。
(お恥ずかしながら、私は大人になって初めて知りました・・・)

 江戸末期から明治にかけて活躍した彼らは、ご当地検定でも出題の常連の小説家たちで、「金沢三文豪」と呼ばれています。

1.室生犀星(むろう・さいせい)*「むろお」と読むこともあります。

 足軽の家に生まれたものの、幼い頃からお寺(雨宝院)に預けられて育ったという、ちょっと変わった背景を持った詩人・小説家です。
 本名は照道(てるみち)ですが、このお寺が金沢にある二大河川のひとつ犀川のほとりにあったことにちなんで犀星の名前をつけたと言われています。

 上京して有名になってからも、ふるさとを想って数多くの作品を作りました。
 「ふるさとは遠きにありて思ふもの」で始まる詩『小景異情』や、少年時代の思い出を描いた小説『幼年時代』などは特に有名で、深い郷愁が感じられます。

2.泉鏡花(いずみ・きょうか)

 妖しくも、ぞっとするほど美しい独自の世界観が魅力の小説家です。
 生家が現在の主計町茶屋街のすぐ近くだったため、鏡花の小説には茶屋街を舞台にしたものが数多くあります。
 『化鳥』、『義血侠血』、『照葉狂言』などが特に有名です。

 また、面白いことに鏡花はうさぎ関係の物のコレクターとしても知られています。
 なぜうさぎ?と思われる方もいるかもしれません。
 これは、自分の干支(酉)から数えて7番目の干支(兎)のものを持つと御守りになるという言い伝えがもとになっているそうです。

 主計町茶屋街に行くと、鏡花にちなんでちょっとしたところにうさぎモチーフのものがあるので、探してみると楽しいですよ。

3.徳田秋声(とくだ・しゅうせい)

 鏡花の小学校の1年先輩にあたるのが、秋声です。
 二人は同時代、同地域で少年時代を過ごしただけでなく、ともに当時有名だった尾崎紅葉に師事しました。

 秋声の特徴は、体験に基づいた作品や、自分自身を題材にした作品を書いたことです。
 代表作『光を追うて』では、金沢の街にガラス張りの床屋ができたり、牛肉店ができたりした様子が描かれており、明治に入って変わりゆく金沢の風景が描かれています。

 小説に描かれた風景と現代の風景を比べながら街を散策するのも良いかもしれませんね。

三文豪の世界に触れて、金沢をもっと深く楽しもう

 文豪たちの作品には、彼らが愛したふるさと・金沢の魅力が詰まっています。
 ネット検索やSNSの写真を見るのも良いですが、せっかくの読書の秋。
 たまには文豪の美しい日本語に触れ、金沢をもっと知っていただければ嬉しいです。

ゲストハウスPongyi(ポンギー)
金沢で一番古いゲストハウス。素の自分でいられ、他の人と交流できるアットホームなお宿。築140年の金沢町家。ミャンマー僧侶経験のある代表まさきと、若女将のにいなで運営中。
 

ゲストハウスPongyi HPwww.pongyi.com