シニアのためのテクノロジーラウンジが日系文化センター・博物館で始まった。今やデジタル機器が最盛の時代。若者だけならいざ知らず、シニアもその波に否応なく飲み込まれている。
スマートフォンやタブレットなどは、それが使えなくては生活に支障が出ることもあるほど生活必需品になった。
にもかかわらず、シニアにはその機能を自分一人で触って使いこなすようになるのは至難の技。しかし、使えれば可能性がグ〜んと広がるのもデジタル機器だ。
シニア・テックラウンジ(Seniors’ Tech Lounge)は、65歳以上を対象に、スマートフォンやタブレットの使い方を学ぶ場として開設された。
テクノロジーの学びの場が、友達の輪を広げるきっかけに
シニア・テックラウンジには、講師や先生がいるわけではなく、ボランティアたちが、参加者それぞれの「よく分からない」を一つ一つ丁寧に教えてくれる、サークル感覚の学び場だ。
すでに6月から始まっていて、7月も日系ガーデン・ファーマーズマーケットの開催に合わせて開かれた。
ラウンジでインストラクターとして参加している吉川英治さんは、ここまで見てきて「このクラスはすごく必要と感じました」と話した。というのも、新型コロナウイルス感染拡大で、シニアたちも家族や友達に会えない日々が続いた。スマーフォンやタブレットを使ったオンラインツールでのコミュニケーションが推奨されたが、それはあまりにもハードルが高かったのではないかと、ラウンジを始めて実感したからだ。
おそらくコロナ禍で離れた家族に、ああして、こうしてと教わってやってみたと思うが、1回や2回触っただけでは、すぐには使いこなせない。聞きたくても教えてくれる人が近くにいない。人に会えない寂しさとテクノロジーについていけないもどかしさで、コロナ禍のシニアは二重苦だったのではないかと推測する。
「だから、みんなと集まる場所があって、分からないことを聞ける人がいて、交流できるこういう場が必要だと思う」と吉川さん。「ここに来て、目的は使い方を教わることですけど、それでまた人の輪も広がっていくのもここのラウンジのいいところです」と楽しく学ぶのもこのラウンジのテーマ。
「クッキングや踊りと同じで友達がいないとつまらない」というのはどの世代も同じ。テクノロジーの学びの場が、友達の輪を広げるきっかけにもなればいいと期待している。
参加料無料、友達とおしゃべりを楽しみながらデジタル機器の使い方を学ぶ
参加対象は初心者から中級者まで、自身のパソコン、スマートフォン、タブレットを持参する。日系ファーマーズマーケットのついでにフラッと立ち寄っても構わない。予約は不要。
友達を誘って、一緒に参加して、おしゃべりをしながら、タブレットの使い方をボランティアの若者から学ぶ。ポイントは「楽しむこと」。なにごとも、楽しくなくては続かない。疲れたらおしゃべりに没頭しても大丈夫。
少しずつ、一歩一歩、今日はこれ、家ではこれ、次回はこれと、使い方を学んでいく。アプリって何?WIFIって?スマフォで写真はどう撮るの?孫とライン動画で会話するにはどうしたらいいの?などなど、どんな疑問も一つひとつ解決して、使いこなせるようになる。
少し使えるようになれば、コミュニケーションの可能性が広がる。
コミュニケーションといえば、このラウンジから何かを得るのはシニアだけではない。「教わるシニアは使い方を学びますが、教えるボランティアの若者はシニアとの会話から色々なことを学べる場になると思います」と吉川さん。
デジタルをきっかけに世代を超えたコミュニティの場になればと語った。
8月、9月のシニア・テックラウンジ開催日
日時:8月28日、9月11日、25日、10月9日、23日(全て日曜日)午前10時〜午後2時
会場:日系文化センター・博物館2階
参加費:無料
予約:不要
持参するのも:スマートフォン、タブレット、パソコンなど、使い方を知りたいデジタル機器
*ボランティア募集中
*日系ガーデン・ファーマーズマーケット開催日と同日同時間に開催されている。
*Seniors’ Tech Loungeは、ブリティッシュ・コロンビア州政府のJapanese Canadian Survivors Health & Wellness Fund Projectから3,000ドルが支援されている。
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