日本畜産物輸出促進協議会が主催する日本産和牛のセミナーがバンクーバー市で11月8日に開催された。
会場にはレストラン経営者や和牛取扱業者など、約60人が参加。和牛の魅力や、佐俣宏紀さんによる肉のさばき方のデモンストレーションに熱い視線を向けていた。今回紹介されたのは、Ribloin(リブロース)、Top-round(うちもも)、Knuckle(しんたま)の3種類。
また質疑応答コーナーでは、和牛の輸入方法やバンクーバーでの取扱業者についての質問もあり、詳しい人はオリーブ和牛について質問するなど、和牛に対する関心の高さが垣間見えた。
日本畜産物輸出促進協議会理事・川島俊郎さんによると今回のようなイベントをバンクーバーで開催するのは2017年に続き2回目という。カナダは量的に見るとまだ少ないため「輸出を増やしたい」という目的を持って開催。「レストランとかお肉屋さんに、カッティングの仕方をよく見ていただいて、実際に食べてもらうことで、関心を広げていきたいっていう希望はあります」
質疑応答での質問も多く今回のイベント開催の手ごたえを少し感じているという。具体的な数字目標はないが、前年よりも輸出量が増えることを目指していると語った。来年以降はトロントなど東部でも開催したいと計画している。
この日は在バンクーバー日本国総領事館丸山浩平総領事も出席した。
ミシュランが発行されたカナダで1つの食材として和牛を
この日、和牛のさばき方をデモンストレーションした全国食肉学校専任講師・佐俣宏紀さんはバンクーバーでの和牛の取り扱いについて、まだまだ知られていないと語った。「アメリカのニューヨークやロサンゼルスではもう当たり前のようにスーパーマーケットでも和牛のステーキが置いてあるんです」と話す。
今回はモモにフォーカスしたイベントだったと言う。「一番使いやすいロイン系以外のところをできるだけ販売につなげたいっていうことが今回の目的だったんです」。今回紹介した部位は、「テクニカルなことをする」必要があるので難しいと思われてしまうところがあるという。そのため、「なかなかお肉のロイン系以外の部位を使うところっていまだにやっぱり少ないんです」。それでも、「そのおもしろさ、そのやり方によっては収益にすごく大きく関わってきますので、ぜひちょっとチャレンジしてもらいたいなっていうのが私たちの意向ですね」
和牛の特長は「他の牛に比べて脂の融点が圧倒的に低いこと」。そのため、口の中の温度でも溶けるのでおいしいと説明した。「サシが入っていることによって食感も柔らかくなりますし、脂が細かく入っているので、食味がリッチに感じます」。
肉という位置づけでなくても、「フォアグラのような嗜好品として楽しんでもらうという形もあると思う」とカナダでの使い方の幅は広いと見ている。
「カナダでもミシュランが入ったので、それをきっかけに、どんどんレストランのレベルも上がりますし、レベルの高いシェフたちが食材を求める中で、ぜひ1つの食材としてセレクトしていただけたらなと感じています」
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