今年25周年を迎えた日系女性企業家協会(JWBA)が10月13日、バンクーバー市リステルホテルで秋の講演会を開催した。
講演者は、國光愛さんとハイディ浜野さん。講演内容を2回に分けて紹介する。前編は、國光愛さん「コロナはチャンスだった、地上に降りた機内食」、後編はハイディ浜野さんの「あなたも家が買える、クレジットスコアのからくり」。
Accredit Mortgage Specialistハイディ浜野さん「あなたも家が買える、クレジットスコアのからくり」
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州のFinancial Service Authorityの監督下でライセンスを取得し、モーゲージスペシャリストとして16年のキャリアを持つハイディ浜野さん。現在、TMG The Mortgage Group Canadaに所属している。
モーゲージ(住宅ローン)を扱うスペシャリスト「モーゲージスペシャリスト:Accredit Mortgage Specialist」に相談する利点について6つをあげた。
1.取り扱いモーゲージ量が多い融資先から特別な金利を受けられること、2.サービスが基本的に無料なこと、3.週末や夜でも顧客のスケジュールに合わせた対応が可能なこと、4.常に最新の情報を収集していること、5.顧客の状況に応じて最適なモーゲージをアドバイスできること、6.1回のクレジット照会で多数の金融機関に申請が可能なこと。
クレジットスコアとは?
「クレジットスコア」とはクレジットのトレードラインの情報を元に信用度を数値化したもので、カナダではSIN(Social Insurance Number)を持ってクレジットを利用している人は全てエージェンシーにレポートされ、個人の「クレジットレポート」として確認できる。クレジットレポートを確認できるエージェンシーは2社、EquifaxとTransUnion。
クレジットスコアは、色々な要因から判断され算出されている。評価基準は、個人負債責任の支払い状況が35%、どのくらい使ってどのくらい残高があるのかのクレジットバランス30%、クレジット新規照会回数が10%、使用可能なクレジット10%、クレジット・LOCの使用期間15%となっている。
浜野さんによると、クレジットレコードは、B.C.’s Personal Information Protection Actで保護され、個人情報は非常に厳しく管理されているという。例えば、夫婦やパートナーであっても、クレジットスコアはモーゲージスペシャリストなどが他方のパートナーに教えてはいけないことになっている。
浜野さんは「Equifaxのホームページは、色々な情報があって参考になると思いますので、機会があればチェックしてみてください」と勧めた。個人でもクレジットスコアを見ることができる。https://www.consumer.equifax.ca/personal/
クレジットスコアを高く保つ方法
クレジットスコアはさまざまな場面で必要となるが、例えば、不動産購入時に金融機関にモーゲージを申請するときや、最近は賃貸契約のときなどにクレジットレコードが照会される。
「クレジットスコアがある程度高くないと、信用がないということになってしまいます。クレジットスコアをきちんと保つことはカナダに住むうえでは非常に大切」と言う。
クレジットスコアは450点から850点の範囲。見方は、「500点ですと、学校の成績でいうとちょっと落第するからがんばってね、みたいな感じですね。600点から650点くらいだと、もうちょっとがんばろうねって感じで、700点だと合格しますって感じ。800点以上ですと優秀という感じになりますね」と分かりやすく解説した。
銀行融資でベストな金利と最大限に借りられる条件は680点という。そのため、「この数字を保てるようにするにはどうすればいいのか」を説明した。
・ポイント1
自己名義のクレジットカードを所有する。3つのクレジットカードを持つこと、クレジットカードは毎月使用し支払いを行っているのが理想的。
・ポイント2
クレジットカードを作るときに、店舗(例えば、ホームディーポやウォールマートなど)が発行しているクレジットカードではなく、銀行発行カードを作ることが望ましい。
・ポイント3
長く所持して使用しているクレジットカードはなるべくキャンセルしない。長く使っていたクレジットカードを何らかの理由でキャンセルすると、それまでの期間のクレジットヒストリーが消えて点数が下がる要因となる。
また、持っているクレジットカードはどこにいてもたまに使うのがお勧め。海外にいても、カナダのクレジットカードを使う。「アクティビティがないと点数が上がっていかないので、1カ月に1回とか、1回10ドルでもいいので使うのがお勧めです」
・ポイント4
クレジットカードの限度額を絶対に超えないこと。「使用額は限度額の70%ぐらいに抑えるのが一番いいと思います」と説明。「クレジットスコアは全体の限度額の4%から12%で利用するのが理想的」とのことだった。
・ポイント5
支払額が全額払えなくても、最低支払額を毎月支払えばスコアには影響しない。
・注意点1
クレジットレポートには、Collection、Judgement、Bankruptcyもレポートされる。また未払いのものも全部出る。そのため、例えば、税金の未払い、未払いの駐車違反チケットや携帯電話料金の未払いなども点数に影響を及ぼすので注意する。
・注意点2
忘れがちなのは引っ越し。住所変更がクレジットエージェンシーにレポートされていない場合は変更が必要。
・注意点3
ステータスが変わる場合。結婚などで名前が変更になるような場合も、クレジットエージェンシーで変更が必要。
・注意点4
色々なところにクレジット照会をしない。短期間に多数の新規クレジット申請を行うと点数に悪影響がある。クレジットカードの申し込みや自動車のリース、銀行での事前審査など。
クレジットスコアの伸ばし方
短期間にクレジットスコアを伸ばしたい場合は、クレジットカードを使って、支払期日になる前に支払額よりも多い金額を払う。
不動産を購入する時のベストな流れ
不動産を購入するときの最も効果的な流れは、最初にどれくらい融資を受けられるかを知ること。「家を探す時に不動産屋さんに行っても、どのくらいの物件をお探しですかと聞かれて、分からないと答えるとモーゲージの専門家に聞いてくださいと言われます」と浜野さん。
まずは、モーゲージスペシャリストを最大限利用して最適なモーゲージを選択する。「このぐらい借りられるということを自分で把握して、頭金なども考慮しながら物件探しをする。これが最もスマートでスムーズな不動産購入の流れだと思います」と語った。
最後に、クレジットスコアは不動産購入時には重要な役割を果たすが、「不動産を買う、買わないに関係なく、良いクレジットスコアを保つのはカナダでは大切だと思います」と締めくくった。
ハイディ浜野(ハイディ・はまの)
モーゲージスペシャリスト・Accredit Mortgage Specialist
BC州で日本人として初めてライセンスを取得
カナダ西部最大のモーゲージ会社TMG The Mortgage Group Canadaに所属
レジデンシャル、コマーシャルモーゲージを取り扱い、銀行、信託銀行、モーゲージ会社、プライベートレンダーまで幅広い金融機関の融資を提供
日系女性企業家協会(Japanese Women’s Business Association)
1997年設立、会員数・現在22人
バンクーバーでビジネスを展開する女性が集い、協力する「企業家」団体として活動している。
ウェブサイト:http://jwba.ca
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