近年カナダ留学で人気の高いCo-op(コープ)留学とは?

 Co-op 留学という選択肢が、近年カナダへの留学生たちの間で新しい定番になりつつある。聞いたことはあるがいまいちピンとこない、という人も多いかもしれない。

 そこで今回は現在 Co-op 留学中の筆者が、Co-op とはどのような留学制度なのかを紹介する。

Co-op(co-operative education)とは?

 Co-op とは、「学び」と「インターンシップ」を組み合わせた留学プログラムである。カナダが独自に実施しており、特定のビザを取得すると参加できるため、世界各国から多くの留学生たちが利用している。

 Co-op は学生の学習体験を向上させるための教育の一環として、1957 年にオンタリオ州ウォータールー大学で初めて導入され、のちに留学生も参加できるようになった。滞在期間の半分で専門学校での知識の習得、もう半分の期間でその知識を活かしたインターンシップとして現地で働くことができるプログラムだ。

Co-op でできること、できないこと

 Co-op では「学生ビザ」と「就労ビザ」の2種類のビザが発行される。そのため、期間中には就学と就労のどちらも可能になるが、いくつかの条件がある。

・学ぶ

 Co-op を導入している専門学校で、分野に特化した専門的な知識を英語で学ぶことができる。インターンシップができるコースには、貿易・ビジネス関連(マーケティング、マネジメントなど)、IT 関連(プログラミング、デジタルマーケティングなど)、接客関連(カスタマーサービス、ホスピタリティなど)、その他にも看護や航空などさまざまあり、学びたいことやキャリアプランによってコースや学校を選択する。

 また、1年以上のコースを修了すると Diploma(専門士)を獲得できるのも特徴である。

 しかし、このプログラムでは専門学校で学んだことをインターンシップで活かすことを目的としているため、「カスタマーサービスを学んで IT 関連で働く」など、異なる業種を選ぶことはできない。

・働く

 このプログラムで働けるのは前半の在学期間で週20時間、後半のインターンシップ期間で週40時間までとなっている。
 *カナダ政府の発表により、2022 年 11 月 15 日から 2023 年 12 月 31 日までの間、この就労制限が一時撤廃されることとなった。発表された 10 月時点で就労可能な学生ビザを保有している人、申請中の人が対象となり、就労時間の制限がなくなっている。

 一方で、働くことができない期間もある。就学前に語学学校で英語を学ぶ場合、その通学期間中はアルバイトなどをすることができない。また、インターンシップ期間が終わってすでにプログラムを卒業している場合も、ビザの残りの期間にかかわらず、それ以上働くことはできない。

ワーキングホリデーとの違いは?

 「海外で働けるビザ」として多く利用されているワーキングホリデービザ。Co-op ビザとは何が違うのか。それぞれを比較しながら Co-op のメリット・デメリットを見ていきたい。

CO-OP ビザワーキングホリデービザ
許可される人数制限なし年間 6,500 人まで
年齢制限高卒以上で上限なし18 歳~30 歳まで
取得できる回数制限なし1カ国に1回
滞在期間6カ月~2年最長1年間

  Co-op ビザは年齢制限がなく何度でも取得できる。また、最長1年間のワーキングホリデーに比べ最長2年滞在できるので、長期間カナダに滞在したい場合のよりよい選択肢となる。デメリットとしては、最短6カ月からと決まっているため比較的期間が長くなってしまうことがあげられる。

ビザ取得までの流れ

 次に、ビザを取得するまでの手順を紹介する。一般的に、Co-op留学を受け入れている学校を選ぶところからビザ取得までの期間は、約半年から 1 年かかる。

 Co-opビザの取得の際に必要となったものと取得の流れは以下の通り。

ビザ申請に必要なもの

・高校もしくは大学の英文卒業証明書
・入学許可証、Co-op レター
・学生ビザ申請書
・一時滞在申請書
・英文の残高証明書
・パスポート
・顔写真
・クレジットカード(申請料の支払いなどに必要)

ビザ取得までの流れ

  1. 学校・コースの選択
  2. 入学テストの受験、もしくは学校指定の入学条件に合わせた英語資格スコア(IELTSなど)を取得して申し込み
     中級以上の英語力が必要:Co-op を採用している多くのカレッジでは、中級以上の英語力を入学基準としているため、事前に付属の語学学校に通うか、IELTSやTOEICなどの指定されたスコアを取っている必要がある。
  3. 入学手続きや授業料の支払い
     授業料の振り込みが終わると、学校からビザ申請に必要な入学許可証とCo-opレターが送られる。
  4. 英文の銀行残高証明書の作成
     渡航するために十分な資金があることを証明するためのもの。
  5. ビザ申請
     学生ビザの申請と同じで、カナダ移民省サイトからオンラインでアカウントを作成し、質問に回答する形で進めていく。その後、東京か大阪のビザ申請センターでバイオメトリクス(個人識別情報)の登録を行う。

 提示されたすべての登録が終わるとビザ許可証が発行されるという流れになっている。

 Co-op ビザは「就労が認められる学生ビザ」という位置づけのため、ビザ申請の際も学生ビザと同じ手順で進められる。

まとめ

 現在 Co-op でデジタルマーケティングコースを受講している筆者は、近年 IT 化が進む中で必要とされてきている、ウェブサイトの運営やデザイン、検索エンジン最適化などをメキシコや韓国、台湾のクラスメイトたちとともに学んでいる。

 6カ月間の就学が終わると、次は学んだことを活かした6カ月の就業体験が待っている。Co-op の修了後にワーキングホリデービザを取れば滞在期間を1年延ばすこともできるので、インターン先によっては引き続き働き続けることも可能だ。

 このように、Co-op とはカナダで英語とビジネスを学び、即戦力としてカナダの労働力不足にも貢献でき、留学後のキャリアにも活かすことができる実践的な留学制度となっている。

(記事 池田茜音)

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