Asahi Baseball Association の新年会が1月22日、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バーナビー市の日系文化センター・博物館で開催された。新年会では、今年3月に実施される日本遠征の詳細と日本行きメンバーの発表、朝日軍レジェンドの上西ケイさんの101歳の誕生日祝いが行われた。また闘病中のボランティアコーチ米澤幸也さんのチャリティーイベントも告知された。
待ちに待ったジャパンツアー
この日、今年3月の日本遠征に参加するチームメンバーとキャプテンが発表された。遠征は、新型コロナウイルス感染拡大により延期が続き、4年ぶりとなる。選手たちは3月8日~19日の12日間に兵庫県神戸市に滞在し、神戸球友ボーイズ、履正社高等学校、関西大学、三菱重工など地元のチームと試合や練習を行う。遠征メンバーは選手20人、コーチ5人。
Asahi Baseball Association会長ジョン・ウォンさんは今回の遠征で、「選手たちに日本の熱心な練習の取り組み方やリスペクト精神の理解、日本の文化を学んでほしい」と思いを語った。またウォン会長自身の日本訪問は4度目で、日本での楽しみを聞くと「日本の長い歴史に触れることや、とんかつやしゃぶしゃぶなどの日本食も楽しみにしている」とにこやかに答えた。
今回の遠征のコーディネーター兼アシスタントコーチを担当している副会長の福村十三男さんは、遠征を控える選手たちについて、先輩たちの日本での写真を見たり話を聞いたりして、4年ぶりとなる日本遠征への期待を膨らませていると話した。
また、遠征メンバーのキャプテンKai Konkin選手は、この日の朝にキャプテンに選ばれたことを知ったという。
日本遠征について「特に緊張はしていない。ワクワクしている気持ちの方が大きい」と笑顔を見せ、「すしや天ぷらなどの日本食や、文化に触れることも楽しみ」と語った。
上西さんから朝日選手へ「スポーツマンシップを忘れずに」
上西ケイさんは1922年(大正11年)1月11日生まれ、戦前のバンクーバーにあった日系人野球チーム「朝日」の唯一の生存選手。当時のチームを「本当にいいチームでみなさんから応援してもらっていた。スポーツマンシップを大切にするチームだった」と振り返った。
今年遠征に向かう選手たちに向けては、「日本に遠征をされるとお聞きしました。どうかいいトリップをして、フェアプレーのスポーツマンシップを忘れずに、いい観光をしてきてください」と選手たちの健闘を穏やかに願った。
誕生日パーティーでは、遠征メンバーからケーキと歌のプレゼントがあり、在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事からは花束が贈られた。
また、選手たちからバットや帽子にサインを頼まれる場面も多く、快く引き受けながら、終始にこやかに活気ある雰囲気を楽しんでいた。
「日本とカナダのよりよい関係に貢献」丸山総領事
丸山総領事は、「日本との交流のために遠征に行く若い世代から101歳の誕生日を迎えたケイさん。幅広い世代の方が集まった熱気や活気を感じました。コロナウイルスの影響でしばらく色んなことが封鎖されていただけに、とてもうれしくて感動的です」と語り、「日本とカナダのリレーションシップがよりよくなることを願います」と野球交流を通しての日加関係の発展を願った。
がん闘病中のハリーさんも笑顔
この日は、昨秋からがん治療を続けている朝日のボランティアコーチ米澤幸也(ハリー)さんも駆け付けた。朝日の選手たちの元気な姿に笑顔を見せた。
会の終盤にはボクシングの日本人ベテラントレーナー吉川英治さんが会場を訪れた。実際にグローブを身に着け朝日選手とのボクシングを披露し、闘病中のハリーさんに応援メッセージを贈った。
ウォン会長や福村副会長も「朝日は家族」と共にがんばろうと声をかけた。
朝日チーム・ジャパンツアー
2015年を第1回として、2年に一度、同アソシエーションでプレーする選手から選抜チームを結成し日本に野球遠征している。新型コロナ感染拡大の影響で2021年は結果的に中止となった。
選手は主に13~15歳で編成されているが、2023年は2年前に遠征予定だった選手も参加し、最年長は17歳となる。今回の交流チームは、神戸球友ボーイズ、明石ボーイズ、小野ボーイズ、履正社高等学校(女子硬式野球部)、IPU環太平洋大学(女子硬式野球部)、 関西大学、三菱重工WEST硬式野球部。
2017、2019年の遠征では、横浜、静岡、滋賀、奈良などで親善試合を行なっている。毎回3月の春休みを利用して実施している。
(取材 池田茜音 / 写真・動画 斉藤光一)
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