National Trust for Canadaが主催するコンテスト「The Next Great Save」が大詰めを迎えている。国内の価値ある建造物の保存を目的とするコンテストで、一般からの投票数が最も多い1位に輝いたプロジェクトに50,000ドルが支援される。
候補地は10カ所。今年はそこに、日系カナダ人強制移動に関係の深い建物「ホープ・ステーション」が含まれている。
日系カナダ人にとって忘れることができない場所
日系カナダ人強制移動は、1942年からカナダ政府によって実施された。日本に祖先を持つ日系人は、たとえカナダ生まれであろうと西海岸から100マイル以東へと移動を強いられた。移動先の収容地は人が住むにはあまりにも過酷で、電気や水道もなく、荒れ果てた土地で身を寄せて暮らした。
約22,000人が強制移動させられたが、その約8,000人が通ったのがブリティッシュ・コロンビア(BC)州ホープにあるホープ・ステーション。しかも、収容地に向かうトラックに乗せられるためにプラットホームを歩いただけ。人種差別は、駅の建物の中に留まることすら禁止していた。
こうした歴史的背景を忘れないよう、当時は絶望の入り口となっていたホープ・ステーションを、「のぞみ駅」へと再生させるのが今回のプロジェクト。現在のステーションを、歴史を語るミュージアム、ビジターセンター、レストランや共同オフィスが入る建物にする予定。
ホープから東19キロにあったのは最大の収容地タシメ、現在のサンシャインバレー。2644人が収容された。プロジェクトは、Tashme Historical SocietyがDistrict of Hopeと共同で進めている。
ホープ・ステーションが選ばれた場合は、支援金で遺産建築家・コンサルタントを雇って作業を開始するために使用される。
ホープ・ステーション、健闘も現在3位
The Next Great Saveコンテストは1位のプロジェクトのみが50,000ドルを受け取ることができる。
どの建造物もカナダにとっては大事な歴史遺産。この10カ所の中からトップになるのは至難の業だが、現在は3位につけている。
1位は一般からの投票で決まる。締め切りは2月22日午後2時(東部標準時)。投票にはEメールアドレスが必要となる。投票は1日1回。カナダ国内外から投票可能。
10カ所の候補地は、National Trust for Canadaのウェブサイトで紹介されている。各候補地への投票もここからできる。https://nationaltrustcanada.ca/what-you-can-do/nextgreatsave/competition2022
ホープ・ステーション “Historic 1916 CNR Hope Station”に関する情報はこちら。このページから投票も可能。
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