エドサトウ
弥生時代が始まるころは、古代温暖期の頃で、日本でも南の亜熱帯のお米が生産できるようになったのではと想像もできる。海洋民族も暑さを逃れて北へ移動して、九州や朝鮮半島の南に到達したのではあるまいか。
約三千年続いたエジプト文明も紀元前30年頃にはローマ帝国に滅ぼされている。ユダヤ人の人々はアフガニスタンへ移動して行き、その一部が朝鮮や日本に到達したとも考えられなくもない。
戦後の歴史の中で、日本人のルーツはトルコあたりだと言われたのは、大乗仏教が西洋のギリシャ文化と出会うアフガニスタンのガンダーラが、つまり、ユダヤ系ではと思われる秦氏のルーツと重なることにあるのかもしれない。
モンゴルの草原の風をきり、はるばる日本まで来た人々の文化が僕たちのルーツになろうとしている弥生時代の草原にも初夏の風が吹いていた。普遍と思われるものは、実は普遍ではなく変化している。日本的なようで、そのように見える新しい普遍的なものが必要なのかもしれない。
草原に風が流れる。タケが「カルラ!胡服スタイルのズボンを穿いてきたか?」と問うと、カルラはすその長い服のすそをたくし上げて、大きな声で笑った。タケが「それでよし。じゃあ、縄で足をかける木片のあぶみと手綱を取り付けよう」と笑いながら言う。「馬は背中に人が乗ると、気持ち悪がって、暴れるから、しばらくは、おらの馬に乗ったらいい」
すると、カルラは、興味しんしんに「わかった」とうなずくのであった。
投稿千景
視点を変えると見え方が変わる。エドサトウさん独特の視点で世界を切り取る連載コラム「投稿千景」。
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