第10回 スワミのお別れ準備 その1

 何だか忘れかけているけれど、あの時、桐島洋子(作家)さんのご主人、今は亡き勝見洋一氏、彼がずっと以前、突然「澄子さん、サイババって知ってる?」と聞いた。
 私は「知らないわ、なにそれ?」と聞く。彼が「サイババはね、今、インドにいるキリストかお釈迦様だと言われている聖者だ」と言った。それから、数ケ月たって、洋子先生からサイババの写真の絵ハガキを受信。一葉の絵ハガキには、彼女がサイババのアッシュラム(お寺と大修行道場を合わせた様な場所)に滞在中で、そこでの体験を書いてあった。早朝からサイババの祝福を受け、その至福感。彼女のその至福感、それが、ジーンと私に伝わった。
 何が何だか、なにも分からないまま、娘たちに「ママ、バッカみたい!」といつも通り笑われながら、でも、私は本当に、本当に、夢中で何処にあるか知らない、遠い遠い「プッタパルティ」を探し、南インドの小さな村、そこへ行ったのだ。つまり洋子先生が言った「至福感」、それを常に感じられる場所。多分、そこでの不思議体験後、何だかサイババが好きになったみたいだ。彼が言う「Love ever, no harm ever」それがサイババのエネルギーからきているのか、自然の宇宙エネルギーからきているか知らない。
 でもね、毎日の生活中、何かある度に「セレンディピティ」幸運をつかむ、多分、「アレー?これ本当?!」と言う体験、「幸せ!」を感じるようになったみたいだ。

 そして、それから10数年、時はもう2009年。その秋、サイセンターから、翌年、2010年8月に全カナダサイセンターの人達がスワミ(サイババ)の招きでプッタパルティでの世界大会に出席する。その参加希望者募集の通知を受け、日本人グループも参加、貴方も行かない?と誘われた。
 しかし、毎年、8月は私の孫が東京からやってくる。後の「シルク・ド・ソレイユ」で「デングリ返し」をするようになった孫だが、ここバンクーバーで、当時、毎年8月にジムナスティックのトレーニングを受けているのだ。それで、私はインド行きは不参加と答えた。
 所が、それから数ケ月後、2010年1月に入って間もなく東京の娘から、今年のレイナ(孫)「8月のトレーニングは7月に変更」と連絡があった。

 ここで「セレンディピティ」幸運をつかんだ!私はわぁー、インドへ行ける!
 直ぐにサイセンターへ8月のインド行き申請。又しかし、答えは「NO」。カナダからの参加者はすでに300人、同行者のユニフォームまで既に用意されていたのだ。 
 しかし、私はあきらめず、日本人グループのリーダー、シヤさんの手配でサイセンターのグループとは別行動、日本人グループ旅行に同行。プッタパルティ内では自分で宿泊所を取り、グループと別行動という条件で参加OKとなった。そして、2010年8月12日、私は日本人グル-プと一緒にインドへ出発。
 日本人グループは最初に「マイソール」へ行った。そこはインド南西部のカルナタカ州の都市で、1399年から1947年にかけてマイソール王国の首都になっていた所。
 市の中心部にある豪華なマイソール宮殿はオデヤ朝の中心となった宮殿で、ヒンドゥー教、イスラム教、ゴシック様式、ラージプート様式の融合が見られる所だ。
 ヨーロッパにある建物とは全く異なる素晴らしさがあり、想像もしなかった良い体験が出来た。

セレンディピティ(英語: serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。

許 澄子
2016年からバンクーバー新報紙でコラム「老婆のひとりごと」を執筆。2020年7月から2022年12月まで、当サイトで「グランマのひとりごと」として、コラムを継続。2023年1月より「『セレンディピティ』幸運をつかむ」を執筆中。
「グランマのひとりごと」はこちらからすべてご覧いただけます。https://www.japancanadatoday.ca/category/column/senior-lady/