カルラ12 ~投稿千景~

エドサトウ

 弓を背負い馬に乗り、移動してゆくカルラは、日よけの麻の長い布を頭と首に巻いていた。顔の赤茶色の入れ墨がよく目立つ。まるで、激し色をした赤いアゲハチョウが舞っているようである。ようやく繭から孵ったアゲハチョウが大きな美しい薄い赤色の羽をつけて馬に乗り、舞いゆく姿は男装の麗人のごとくあった。

 遠い過去の日にも、ベトナムあたりが原産といわれる蚕と同種と思われる不思議な蛾が密林に舞っていた。絹の生産は、東南アジアで始まっていて、その歴史は五千年前までさかのぼり、日本には稲作と一緒に伝わったといわれる。

 北九州にはいろんな部族が住んでいて、一つの国を創っていた。その中でも、南朝鮮の海岸線まで影響を及ぼして支配(植民地化)していた島国の『イ国』があった。

 カルラ達も、自然と彼らの助けを借りて九州の一角に落ち着くのである。その多くの島国の集まりがジマ台国なのであろう。つまり、ジマに漢字を当てはめれば『島大国』なのであろう。

 南朝鮮の海岸線も同じ海洋民族なのか、『島大国』の一部であった。その島大国の『イ国』などをとおして、当時日本には無かった鉄の塊や、鉄器の農具などが運ばれてきて、北九州の博多近くの港も結構な賑わいであった。人や店も多く、カルラもタケも、この街にきてびっくりしたことであった。

 カルラ達の馬も高く物々交換ができたのである。

春の花。Photo by Ed Sato
春の花。Photo by Ed Sato

投稿千景
視点を変えると見え方が変わる。エドサトウさん独特の視点で世界を切り取る連載コラム「投稿千景」。
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