連邦職員の労働組合The Public Service Alliance of Canada(PSAC)が4月19日からストライキを実施している。政府側と交渉を続けてきたが4月18日午後9時(東部標準時)までに合意に達しなければストライキを実施すると公表していたPSACは、合意に達することができなかったと19日からストライキを実施している。
ただ、19日に会見したPSACのChris Aylward会長、予算庁モナ・フォーティエ長官ともに、話し合いは継続していると話している。Aylward会長は会見で、お互いの内容はまだ合意に至るにはかけ離れているが、我々の目的は労働協定を結ぶことであり、話し合いは継続すると語っている。
報道によると、PSACは年4.5%の給与上昇を3年間とリモートワークを協定に盛り込むことを要求しているという。4月20日の一部報道では給与上昇率についてはPSAC側が多少譲歩したということも伝えられているが、予算庁は3年9%を提示しているという。
今後ストライキが長引けば、国民の生活やカナダ経済への影響も懸念されるため、カナダ政府がBack-to-work法案を提出するかも注目されている。Back-to-work法案が可決されれば、職員はストライキを中止し職場復帰しなければならない。通常与党が提出し、多数派政権の場合はそのまま可決するが、少数派政権の場合は野党の協力が必要となる。現在の自由党は少数派政権のため野党の協力が必要となるが、新民主党(NDP)は法案には協力しないと明言している。
ストライキ実施で、ビザやパスポート発給やタックスリターンの審査に影響
連邦職員約12万人の大多数がストライキ実施に賛成したと労働組合The Public Service Alliance of Canada(PSAC)が4月12日、発表した。
職員は13州・準州全国で勤務しており、ストライキの実施で連邦政府が提供するサービスに大きな影響が出る。
ストライキは23省庁の職員が実施しているため、影響は大きい。中でも、歳入庁、外務省、移民・難民・市民権省は、申請などの手続きが遅れるなどの直接的な影響がすでに出ていると報道されている。
歳入庁職員の労働組合でPSACグループの一つThe Union of Taxation Employee(PSAC-UTE)はPSACに先駆けてストライキ実施に労働組合が賛成したと発表した。ストライキの実施でタックスリターンなどの処理が遅れるなどの影響が出ると歳入庁は発表している。ただし、タックスリターンの提出期限が延長されることはないと発表している。
外務省は、「国民の安全、安心、健康に影響を及ぼす可能性のある全ての必須サービスを維持する」としている。トラベルアドバイスなどのサービスは影響を受けない一方で、「市民権やパスポートサービスを含む領事サービスは、在外公館のネットワークを通じて引き続き提供されるが、遅れが生じることが予想される」という。その他、文書認証や輸出入許可証のサービス、CanExportプログラムなども影響を受ける可能性があると発表している。
移民・難民・市民権省は、申請書などのオンラインや郵送での提出やオンラインアカウントは影響なく利用できるが、以下には遅れなどの影響が出るとしている。
・申請書類の処理、・市民権授与式を含む対面での予約またはイベント、・Eメール、電話、ソーシャルメディアを通じた連絡への返信、・領事館での市民権・パスポートサービス、・カナダでのパスポートサービスなど。永住権カード(Permanent Resident Card)の更新も同省への申請のため影響を受ける可能性がある。
PSACは5グループからなり、UTEも含まれる。組合員は約159,000人で、そのサービス内容は多岐にわたっている。
カナダ環境省や、州営のカナダポスト、CBC(カナダ放送協会)、カナダ輸出開発公社(Export Development Canada)などは労働組合が違うため今回のストライキに影響しない。
(記事 編集部)
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