カナダde着物
第47話 *芸妓と着物*
陽気が良くなって、万物の成長する気が次第に長じて天地に満ち始めることから小満といわれるそうです。
最近、夏めく気候に体がついていけず、体調を崩される方が多いようです。
私も春以降、茶道と着物関係のデモンストレーションや友人との会食などで出掛けることが多く、人と会う機会が増えたせいか、どこからか風邪をもらってきてしまいました。
それでも気持ちを明るくしていられるのは、5月の爽やかな風と庭に咲き誇る草花が癒してくれるからでしょうか。
季節の折、皆さまお健やかにお過ごしくださいますように。
*今日の着物*Today’s Kimono
「伝統の着物」
着物が長い間継承されてきた理由の一つに、伝統芸能(*1)や芸事が大きく関っていることがあるでしょう。
歌舞伎役者や芸妓は、今で言うファッションリーダーのような役目があり、七五三や結婚式の衣装は、昔の侍や武家の奥様方の装いの影響が今でも続いています。
お寺で着物のレンタルと着付けをする際に、着物の由来や付属する多くの小物についての説明をします。
それぞれには意味があり、厄除開運や人生儀礼の役割も多いので、深い話になりますと、着付けをする時間より長くなることがよくあります。
例えば、懐剣〈かいけん〉、筥迫〈はこせこ〉、末広〈すえひろ〉、抱え帯〈かかえおび〉、丸くげ帯締め〈まるくげおびじめ〉、(*2)は、花嫁の婚礼和装の代表的な小物です。
「自分の身は自分で守る」「身なりに気を付けて」などのメッセージが含まれます。中には現代の女性の在り方にそぐわない解釈もありますが、昔の女性たちの生き方を知り、共感できるところは、今に生きる私たちの生活に落とし込んでも良いかと思います。
仏教の経典や禅語の中には、時代を超えた人間としての普遍的な教えがあります。伝統衣装も同じように、文様、自然の美しさや親から子への想いなどを若い世代や子供たちに伝承していけるでしょう。
あと、カナダ人の方から「着物は、どうしてこんなに複雑な民族衣装なのか」と聞かれることがあります。はい、それは私も時々思います。(笑)
そうは思いながらも、着物は長い歴史と多彩な文化を持つまれな民族衣装であることは確かですし、ハレの日のみならず、日常の中でも愉しめます。
前出の質問には、「着物は洋服のようにはなれないかもしれないけれど、500年前の人と同じ文様を身に付け、季節感や縁起を担いだり、そこには物語がありますね。私は着物を通して、非日常を愉しんでいます。
そして、仕立てられた着物はまた反物にもどすことができる、本来はとてもサスティナブルな衣裳なのですよ」と答えております。
さて、体調が戻りましたら、もっと着付けの練習や着物への研究に精を出していきたいです。そして、今年も行けたらいいのですが、日本での里帰り中に訪れたい染元や織元(*3)についても、少しずつですが、こちらで紹介できたらと思います。
*今日の和の学校*Today’s Gathering
「芸妓と着物」
今、海外からの日本旅行者だけでなく、日本人の旅行者にも人気の観光地での着物レンタルですが、低料金で気軽に着物姿を体験でき、普段着用から芸妓まで様々なものを借りられるようです。
私もチャンスがあれば、一度体験してみたいです。
旅先では荷物を最小限にしたいので、着物が借りられるのは助かります。もちろん、季節に合った着物や帯がふさわしいと思います。
その中でも人気がある芸妓や舞妓ですが、着物はどのようなものでしょうか。華やかな文様や帯が多いでしょうね。
「お寺での着物ワークショップ」
お寺で行っております着付教室ですが、着物はやはり着てなんぼ?と申しましょうか、是非ご参加していただきたいのは着物ワークショップです。
今まで企画しました、”着物de茶道” ”着物deお能体験” ”着物de季節の行事へ参加”などなど、「お好きな着物でお出掛けしませんか?」と呼びかけ、皆さまに参加していただきました。
*名称について*
芸妓は、「芸者(女芸者)」「芸子(げいこ)」と呼ぶのが古い言いかたであるが、明治以降、「芸妓(げいぎ)」という呼名も行われるようになった。
芸妓は多くの場合、一人前の芸妓と見習とに区別されており、それぞれの名称が地域によって異なる。
京都
お茶や団子を提供する水茶屋で働く茶立女(ちゃたておんな)が歌舞伎芝居を真似て三味線や踊りを披露するようになったもの。芸妓を「芸妓(げいこ)」(「芸姑」という表記もあり)、見習を「舞妓(まいこ)」と呼ぶ。
東京を中心とする関東地方
芸妓を「芸者」、見習を「半玉(はんぎょく)」「雛妓(おしゃく)」などと呼ぶ。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
参照
日本の行事・暦:http://koyomigyouji.com/index.html
伝統芸能(*1)
日本に古くからあった芸術と技能の汎称。特定階級または大衆の教養や娯楽、儀式や祭事などを催す際に付随して行動化されたもの、または行事化したものを特定の形式に系統化して伝承または廃絶された、有形無形のものを言う。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
婚礼小物(*2)
和装で必需品とされるほとんどの小物は、江戸時代に実用品として女性が使っていたもの。それを簡略化したものが、和装の花嫁の小物として使われている。結婚スタイルマガジン
染元や織元(*3)
染織(せんしょく)とは、布等の繊維製品を生産する技術および工芸である。同種の織り方でも産地によって染めの手順は異なることがある。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから。
コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
12年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。
年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。
*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。
カナダ人の夫+社会人と大学生の3人娘+老犬1匹(昨年末、虹の向こうへ)がおり、バンクーバー近郊在住。
和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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