バンクーバー市アレクサンダー・ストリートにあるバンクーバー日本語学校(VJLS)で5月20日、学習発表会が行われた。約250人の生徒が参加し、1年間に学んだ日本語や日本文化を発表した。さらにこの日会場には家族など300人が集まり、1年間の練習の成果を見守った。
新型コロナウイルスの影響によりオンラインで授業を受けていた大人向けクラスも今年は対面に戻り、全クラスが発表会に参加。発表会では、日本語だけでなくご当地の食べものや行事、流行のアニメなど、日本社会や生活文化を広く深く学び、それを楽しんで実践しているようすを見ることができた。
今年は在バンクーバー日本国総領事館・岡垣さとみ首席領事が来賓として出席した。
オープニングは生徒50人のよさこい鳴子踊り
発表会は基礎科クラスの合同による、よさこい鳴子踊りで幕を開けた。約50人の生徒が鳴子を鳴らしながら元気に演舞を披露する姿に、岡垣首席領事も「かわいいですね」と顔をほころばせた。
小学校就学前のキンダークラスから始まり、小学科~高等科、アダルトクラスとクラス順に1年間の学習の成果を披露した。キンダークラスでは、「ちいさな世界」「たのしいね」をカスタネットや太鼓などの楽器を使って演奏。キンダークラスは午前と午後のクラスに分かれており、クラスが一緒になって演奏をするのはこの日が初めてだったが、息のあった元気いっぱいの演奏と合唱で観客を魅了した。
小学5年生はこの日二分の一成人式を行った。成人まで残り10年という節目に、一人ずつステージに立ち将来の夢を発表。将来パン屋を開きたいと発表した生徒は、そのためにビジネスの勉強が必要だが、まだ少し早いので今できることを精いっぱいやりたいと話した。生徒たちはそれぞれの夢を叶えるために今なにをがんばりたいのか、なにが必要なのかを考え、これからの計画を共有した。
バンクーバーで日本文化をより深く
バンクーバー日本語学校では中学、高校生向けにクラブ活動も行っている。休憩をはさんだ第2部ではダンス部のメンバー2人が三味線音楽に乗せて軽やかなヒップホップダンスを披露した。
中学2年生による落語もおもしろい。笑点でおなじみのテーマ曲「笑点のテーマ」で始まり、幕が開くと座布団に正座した生徒たちの登場で会場の雰囲気は一気に日本のお茶の間に。落語についての説明のあと、まんじゅうを食べたり蕎麦をすすったりするしぐさを身振り手振りで表現した。うまく表現したクラスメートには「座布団2枚!」と言いながら他のクラスメートの座布団を移動させたりと観客の笑いを誘う場面も。
高校3年生にとっては今回が卒業前最後の発表会となった。ニュース番組の設定で2人のキャスターが学校内のニュースをリポートし、その他のクラスメートがそのようすをステージ上で再現。発表の最後には3年生から先生やランチを作ってくれるキッチンママにむけて「今までありがとうございました」と感謝の言葉を伝えた。
薄紙を重ねるように少しずつ
「2週間前に予行練習をしたんですが、あまりうまくいかなかったので心配だったんですけど、それから2週間でものすごくまとまってきていたのでよかったなと思いました」と話す藤井清子校長。週に一度の授業で学んだことの定着が難しいなかで、生徒が練習してきたことをうまく発揮できることを一番に考え準備を進めてきた。
閉会のあいさつでは、「薄紙を重ねるように毎週毎週少しずつ上手になっていく過程を観るのがとても楽しみでした。その中で生徒たちはクラスメートと気持ちを合わせて励ましあうことをこの学習発表会で学んだのではないかと思います」と毎週の授業の積み重ねで成長を見せる生徒たちの姿に、涙をにじませながらも笑顔で締めくくった。
バンクーバー日本語学校
1906年開校、カナダの日本語学校で最も古い歴史をもつ。
毎週土曜日の昼間と平日の夕方に開講、プログラムは継承語として日本語を学ぶ普通科と、外国語として日本語を学ぶ基礎科がある。日本語だけでなく、日本文化の習得にも力を入れている。https://vjls-jh.com/ja/
(取材 池田茜音)
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