世界で活躍するプロスケーターたちによるアイスショー、スターズ・オン・アイス(Stars on Ice)が5月18日、バンクーバー市のRogers Arenaで開催された。
このバンクーバー公演は今シーズンで引退を表明しているカナダのレジェンド、カート・ブラウニングさんのカナダ国内最後のショー。パトリック・チャンさん、キーガン・メッシングさん、ジェーソン・ブラウンさんたちや、日本からは宮原知子さんが参加し、そうそうたるメンバーが出演。共演者とのお別れのシーンには涙を誘いもしたが、最後までたっぷりファンを楽しませて氷上を後にした。
今回は、日本から参加した宮原知子さんと、4月の東京での大会で競技生活を終えたキーガン・メッシングさんに、18日の本番前にアリーナでインタビュー。前回の宮原さんに続き、今回はメッシングさんのインタビューを紹介する。
東京で競技生活に終止符を打ち、高祖父・永野万蔵さんが眠る長崎で思ったこと
2022年北京オリンピックのカナダ代表。アラスカ出身だがカナダへの日本人移民第一号として知られる永野万蔵さんを高祖父に持つ日系カナダ人5世でもある。
今年4月に東京で行われた世界国別対抗戦で競技生活に終止符を打ったメッシングさんは、帰国前に長崎へ赴き長年の念願であった高祖父の永野万蔵さんのお墓参りを果たした。
―4月に東京での大会の後、長崎で永野万蔵さんのお墓参りに行かれたというニュースを拝見しました。
初めてお墓参りに行くことができ、本当にすばらしい時間を過ごせました。
高祖父が最初の日系移民としてカナダに渡り自分や家族に続いているのですが、その旅路を始めた場所に行くことができたのは大きな意味があったと思っています。
彼が未知の場所と未来へと旅立った場所に立ったとき、競技生活を終えてこれから新たな未知の場所に進もうとしている今の自分と重ね合わせて感慨深いものがありました。今自分の未来や進む道についてすごく考えている時なので。
―キーガンさん自身は万蔵さんがカナダ日系移民第一号とご存知でしたか?
自分はアラスカで育ったのですが、(万蔵さんの孫にあたる)祖母がカナダの話や高祖父の話、日系移民としての生活を話してくれていました。カナダ代表になりたいと思ったのも祖母の故郷だからという理由が大きいですね。なのでカナダも日本も自分にとってはずっと大切な国でした。
-長崎はいかがでしたか?
とても美しい所でした。自然も豊かで温泉も素晴らしかったし。子どもたちがもう少し大きくなったらぜひ連れて行きたいと思っています。
-競技から引退してからの生活はどうですか?
競技を終えて実はまだ全然休暇を取れていなくて、子どもたちとまるまる過ごせたのも4日ほどだけです。
日本の後26時間だけアラスカの家に帰り、すぐニューファンドランドでショーがありました。その後ハリファックスでSOI(スターズオンアイス)のリハーサルが始まり、今はツアーで回っています。今回アラスカからバンクーバーに家族が来てくれたので、やっとこの後ケローナでゆっくりするつもりです。小さな子こどもたちと長い時間を過ごせるのが本当に楽しみですね。
(ちなみにインタビューの間中、長男のワイアットくんはずっとパパの側で遊んでいた)
ー消防士になられる予定だと聞きました。
父が3世代目の消防士なので自分もいずれは消防士になりたいと思っています。ただSOIをとても楽しんでおりアイスショーはできる限り続けていきたいと思っているので、どのタイミングで消防士になるかはまだ思案している最中です。
ー日本のファンにメッセージはありますか?
日本のファンには感謝しかないですね。日本でスケートした時のファンの応援の声は格別なものがあり、とても受け入れられているなと感じることができました。7月にショーがあるので戻るのを楽しみにしています。
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ショーでは得意のバックフリップを何度も披露し、エネルギッシュで楽しい滑りを見せたメッシングさん。最後に「そう言えば高祖母の旧姓が宇野と言うので、どこかで昌磨(宇野昌磨選手)とつながっていたとしたら面白いなと思って!」と教えてくれた。本当にそんなミラクルな繋がりがあれば日本のファンも大喜びだろうに、と楽しくインタビューを終えた。
(取材 Michiru Miyai)
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