カナダ中央銀行が政策金利を0.25%引き上げ、5%とした。今年3月、4月の発表では据え置いたものの、6月から引き上げを再開。中央銀行が2022年3月以降で金利を引き上げるのは今回で10回目となった。政策金利が5%となるのは、2001年4月以来。
7月12日の声明でカナダ銀行は、「世界的なインフレは、エネルギー価格の下落と物価インフレ率の下降により緩和している。しかし、堅調な需要と逼迫した労働市場が、サービス業に持続的なインフレ圧力をもたらしている」と説明。「カナダ経済は予想以上に好調で、需要の勢いが増している。第1四半期の消費成長率は5.8%と驚くほど堅調」と好調なカナダ経済がインフレ率が予想以上に下がらない理由の一つとしている。加えて、前週にカナダ統計局が発表した労働市場調査報告によると6月の労働市場は6万人の雇用増加、住宅市場も好調を維持しているとも説明した。
また、金利上昇が経済に浸透していくにつれて、今年後半から来年前半にかけて経済成長が鈍化し、平均1%程度になると予測。2023年の実質GDP(国内総生産)成長率は1.8%、2024年は1.2%と予測した。しかし、来年初頭には緩やかな供給過剰に転じ、2025年には2.4%に成長率が回復するとしている。
カナダの5月のインフレ率は3.4%で、昨夏ピーク時の8.1%から大幅に下がっている。今年に入ってからのCPIインフレ率はほぼ予想通り下がっているが、その勢いはエネルギー価格の下落によるところが大きく、基調的インフレ率の緩和によるところは小さいと分析している。CPIインフレ率は、今後1年間は3%前後で推移し、2025年半ばに2%まで徐々に下降すると予測している。
そのため、今後も政策金利引き上げの可能性が予想されている。次回の発表は9月6日の予定。
(記事 編集部)
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