叙勲受章グレース・トミコ・フルヤ氏への勲記・勲章伝達式が在カナダ日本国大使公邸で行われる

勲記を手にするフルヤ氏(左)と山野内大使。2023年7月28日、オンタリオ州オタワ市。写真提供:在カナダ日本国大使館
勲記を手にするフルヤ氏(左)と山野内大使。2023年7月28日、オンタリオ州オタワ市。写真提供:在カナダ日本国大使館

 令和5(2023)年春の外国人叙勲(令和5年4月29日発表)で旭日双光章を受章したグレース・トミコ・フルヤ氏への伝達式が、7月28日、在カナダ日本国大使公邸で行われた。

 オンタリオ州オタワを中心にカナダでの生け花の普及に貢献、また、全カナダ日系人協会の活動にボランティアとして参加するなど、日本・カナダ間の友好親善に寄与した功績が認められての受章となった。

 フルヤ氏は「このようなすばらしい名誉な受章者の一人に選ばれて、言葉では言い表せないほど感激しています」と思いを述べた。出席した家族、生け花関係者、友人らに、感謝するとともに、「いけばな小原流といけばなインターナショナルにも謝意を表したい、これらの協会へのかかわりは、私にとってとても大きなことでした」と語った。そしていけばなインターナショナルのモットー「華道を通じた親交」に支えられてきたと感謝した。

カナダでの生け花普及に貢献、元王立カナダ空軍女性部に在籍という経歴も

勲記を持つフルヤ氏(前列中央)、いけばな小原流オタワ支部関係者と共に。2023年7月28日、オンタリオ州オタワ市。写真提供:在カナダ日本国大使館
勲記を持つフルヤ氏(前列中央)、いけばな小原流オタワ支部関係者と共に。2023年7月28日、オンタリオ州オタワ市。写真提供:在カナダ日本国大使館

 在カナダ日本国大使館・山野内勘二特命全権大使は、「カナダにおける日本文化の普及に多大な貢献をされたフルヤさんに、この名誉ある勲章を授与できることを光栄に思います」とあいさつし、フルヤ氏の経歴を紹介した。

 フルヤ氏は、いけばなインターナショナル・オタワ・センテニアル支部といけばな小原流オタワ支部の創設者の一人で、オタワのコミュニティセンターや教育機関などで生け花を教えるほか、モントリオールでも指導するなど、積極的に生け花の普及活動を行う。

 1951年には、日系カナダ人女性として初めて王立カナダ空軍に採用され、同空軍女性部に配属されたという経歴も持つ。1953年には、皇太子さま(現・上皇さま)がイギリス女王陛下戴冠式に天皇の名代として参列する途中にカナダを訪問されることが決まり、フルヤ氏は王立カナダ空軍の特別機エスコート役、及び通訳としてご訪問を成功に導いた。

 また、全カナダ日系人協会の活動にもボランティアとして積極的に関わり、第2次世界大戦中のカナダ政府による日系カナダ人強制移動に対する戦後補償(リドレス)運動にも参加、日系人の地位向上に貢献した。

 大使は「フルヤさんのこれらの多大な貢献に感謝するとともに、この栄誉ある受章に心からお祝い申し上げます」と述べ、最後に日本語で「おめでとうございます」と祝福した。

グレース・トミコ・フルヤ

ブリティッシュ・コロンビア州生まれ。第2次世界大戦終戦後に家族と共にオンタリオ州に移り住む。1974~75年にいけばなインターナショナル・オタワ・センテニアル支部会長、現・名誉会員。1989年いけばな小原流オタワ支部初代会長。2012年にはカナダにおける日本文化普及の功績で外務大臣表彰を受けた。2009年に天皇皇后両陛下がカナダを訪問された際には、天皇陛下から1953(昭和28)年の訪問に関して謝意が表明され、56年ぶりの再会が日加両国で話題となった。

フルヤ氏(前列右から2番目)を囲んで。オタワ日系コミュニティー、山野内大使(前列左端)と共に。2023年7月28日、オンタリオ州オタワ市。写真提供:在カナダ日本国大使館
フルヤ氏(前列右から2番目)を囲んで。オタワ日系コミュニティー、山野内大使(前列左端)と共に。2023年7月28日、オンタリオ州オタワ市。写真提供:在カナダ日本国大使館

(記事 編集部)

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