トロント国際映画祭TIFFが9月7日に開幕、初日はオープニング作品に宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか(英語題:The Boy and Heron )」を上映。邦画、そしてアニメ作品がオープニング作品に選ばれるのは映画祭で初ということもありチケットは即完売。会場前には当日券を求める人の長い列が出来るなど注目の高さが伺えた。会場には宮崎駿監督の姿はなかったものの、スタジオジブリから西岡純一さんが参加。レッドカーペットでメディアに応じた。
西岡さんは「アニメ作品が初めてオープニングに選ばれたということで大変光栄に思っている。アニメ作品が実写映画との違いのようなものを超えて、ひとつの映画として観ていただけるようになったのでは」と喜びを表した。
同作は日本国内だけではなく、海外でもプロモーションをせずに公開する異例の形を取る。西岡さんは「今回の作品は企業からの出資を受けずにジブリが作った究極のインディーズ映画のような作品。なので通常は企業と行うプロモーション活動を行わないという珍しい形になった」と説明。「宮崎駿がヒットをさせなきゃいけないという(スポンサーからの)プレッシャーがない時に、いったいどんな作品を作るのかが楽しみでこのようなチャレンジをしてみた」と今作への期待の大きさも明かした。
観客には「この映画はひとりひとりで受け取り方が違ってくる映画だと思うが、自分の人生を見つめ直すような感想を持ってもらえればうれしい」と期待を話した。
「パーフェクト・デイズ」役所広司さんレッドカーペット登場に喝采!
同日別会場では、ドイツのヴィム・ヴェンダース監督作品で役所広司さん主演の「パーフェクト・デイズ」も上映。会場にはヴェンダース監督と役所広司さんが登壇しファンからの喝采を浴びた。
ヴェンダース監督は「日本は何度も訪れているが、日本の文化、人びとが大好きだ。(新型コロナウイルス)パンデミックで世界中が混乱した後も日本のすばらしさは変わらずであったと思う」と今回日本で撮影できた喜びと感想を話した。「『パーフェクト・デイズ』というタイトルの通り、映画をご覧になった後にはきっと観る前と違った目で物事を見ることができるパーフェクトな日を迎えてもらえると思う」と笑顔で話した。
同作でカンヌ映画祭最優秀男優賞を受賞している役所さんは「今回はすばらしい役をいただき、そして評価していただけて、役者をやってきて本当によかったなと思う」と喜びを語る。「ヴェンダース監督はとてもすばらしい作品を作られる優しい視線を持った方。そして映画作りの楽しさを改めて感じさせてくださる方だ」と監督への賛辞を惜しまなかった。
日本が舞台の映画は今までもたくさんあったが「この作品は渋谷のトイレの清掃員をしている、毎日を質素に彼なりに幸せに暮らしている男が主人公の美しい物語。日本を訪れる機会があれば映画に出てくる渋谷にもぜひ立ち寄り『THE TOKYO TOILET 』プロジェクトというのも見てきて欲しい」と話した。
トロント国際映画祭は9月17日まで。
スケジュール、チケットの購入は映画祭サイトから: https://tiff.net/
(取材 Michiru Miyai)
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