終活は新しい大人のマナー
叶多範子
2023年も早いもので、もうすぐ終わろうとしています。皆さんにとって、今年はどのような年でしたか?私は息子の野球のため日本に一時帰国したり、本を出版したり、夏には久しぶりに家族旅行をしたり、また来年1月からは終活ノート作成講座の開催が決まっており、1年を通して充実したありがたい年でした。年の締めくくりも感謝で終え、感謝の気持ちで新しい年を迎えたいと思っています。
さてみなさんは「エンディングノート」「もしものときノート」「終活ノート」って聞いたことがありますか?(ここでは終活ノートと書きます)
終活の一番の「肝」、最も重要な要素と言ってもよい部分で、まだ作っていない人はすぐにでも作ってもらい、このノートの持つパワーや素晴らしさを実感してもらいたいと思っています。
そう言われても、ノートを作る意味や意義がわからなければ、なかなか作る気になれないですよね?そこで今回から終活ノートの必要性と重要性について、少しずつ例などを交え説明していきたいと思います。
終活ノートを作る7つの利点
- 自分の意向や希望の明確化
葬儀の方法、お墓や遺品の取り扱いなど、具体的な希望を書いておくことが出来ます。 - 財産管理
資産や負債に関する情報を整理しておくことで、物忘れがひどくなった場合や、相続の際に手続きを円滑に進める助けになります。 - 家族への配慮
家族や周囲の人々が大きな決断を迫られることがなくなります。家族間で争うことや、責任を押し付け合うことへの抑止力が期待できます。 - 法的・医療的意向の表明
生前に病状悪化時の治療方針や臓器提供、医療意志(アドバンス・ディレクティブ)などの意思表示や希望を明記しておくことが出来ます。 - 人間関係の整理
大切な人へのメッセージを残したり、感謝や謝罪の気持ちを伝えることで、心や気持ちの整理ができます。 - 情報の提供
金融機関などの様々な取引先や契約先の会社名や内容など、必要な情報を家族が簡単に確かめることができます。 - 自分史を振り返り、後悔を防ぐ
終活ノートは自分の人生を振り返る作業でもあります。人生を終えるまでにやり残したことはないか、心残りなことはないかを確認し、それをやり切ることで後悔を残さずに済みます。
終活ノートはこれらを網羅的にカバーするツールであり、書き上げること自体で終活の大きな一部分を完了させることになるのです。
例えばこんな話があります。
Aさんのお父さんはきっと本人もまだまだ死ぬと思ってなかっただろうとAさんが言うぐらい、本当に前触れもなく急に亡くなられたそうです。そのためお葬式やお墓はお母さんと相談して決めたのですが、その間にかなりお母さんと意見が対立したり、「どうして訊いておかなかったんだ?!」「交友関係も覚えてないの?」「なんで知らないの??」といった心無い言葉でお互いを傷つけあったり、責任を押し付けあったり何度も衝突したり喧嘩をしたそうです。
全てが終わった後も、「お父さんの意図をくみ取れたのだろうか?」「これで良かったのだろうか?」というモヤモヤが残ったそうです。
以前からこうした話し合いができていれば理想的ですが、Aさんのお父さんのように本当に突然亡くなる場合もあるため、お父さんが終活ノートを書き残してくれていたなら、それを頼りに残された家族が衝突せずに、さまざまな判断や決断が容易に出来たため、AさんやAさんのお母さんの負担もぐっと減ったはずです。
「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。
叶多範子(かなだ・のりこ)
海外終活アドバイザー・弁護士アシスタント
「終活をせずに亡くなった!認知症になって困った!途方に暮れた!!」を、「終活しておいて良かった!」「終活してくれていて、ありがとう!」に変えたい!そんな思いから2020年に終活アドバイザー資格を取得。海外在住の日本人向けの「海外終活」についての講座や説明会、ご相談はブログやFacebookなどのSNSをご覧ください。家族はカナダ人の夫+息子2人+猫1匹、バンクーバー在住。
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