「除夜の鐘*願いをこめて打ちにけり」

カナダde着物

第54話
*戦国時代~現代の着物*

 今年もあと少しで終わろうとしています。
 皆さまにとりまして今年はどんな1年でしたでしょうか。

 去年からしきりなく続く戦争のニュースは、これが本当に現実なのだろうかと疑うぐらいに酷い状況が続いています。

 NHKの大河ドラマで「どうする家康」が放送されていましたが、乱世の世が再び起きているように思えます。

 ドラマの中で印象的だったのが、前途を悲観する徳川家康公が「戦国乱世を住みよい浄土にすることがあなたの役目です」と言う仏教の言葉に励まされ、その言葉に勇気づけられ〝生まれ変わり〟、墓前に大願成就を誓った一場面です。

 これは「厭離穢土、欣求浄土」(おんりえど、ごんぐじょうど)という仏教の教えです。

 解釈は色々とあるかと思いますが、260年間の平和な江戸時代の礎を築き、戦国時代を生き抜いた武将から何か学べないでしょうか。

 今、私は日本へ里帰りをしていまして、地元の静岡、掛川、浜松、岡崎など、徳川家康公が活躍したお城をめぐり、この世が浄土になることはあるのだろうかと思いながら周っています。

 何の罪もない子どもたちを大人が始めた戦争で苦しめている現状があります。
 来年はこの戦争が終結し平和の心を取り戻せるよう、切に願っております。

「Happy winter solstice and holiday Official Winter Day」Manto Artworks
「Happy winter solstice and holiday Official Winter Day」Manto Artworks

*今日の着物*Today’s Kimono

「戦国時代~現代の着物」

 私は以前、カナダで撮影された戦国時代のドラマの仕事に関わったことから、武士や公家の衣裳を研究することが増えました。現代の着物のルーツであり、歴史背景、身分制度や生活文化が顕著に表れているので、常に勉強の日々です。

 戦国時代は男性が表舞台で活躍していましたので、着物の資料は男性の方が多いのですが、江戸中期以降はもっと女性の着物が発展していったようです。

 ファッションや文化は平和な時代に華咲くのでしょうか。
 いつまでも新しい芸術や文化を生みだすことができ、お洒落を愉しめるといいですね。

「戦国時代の着物 NHK「どうする家康」ドラマ館にて」コナともこ
「戦国時代の着物 NHK「どうする家康」ドラマ館にて」コナともこ

*きもの旅*

「結城紬の里、おやま」

 日本は縦長の国土を持つがゆえに多彩な風土に恵まれ、各地に多種多様な着物が存在します。
 私は里帰りの際に各地の織元や染元を訪れ、名もなき職人の手による作品に触れ、多くの祖先たちの経験が積み重なって今日までの技に成していることを感じ尊びます。

 今回訪れたのは栃木県小山市です。その周辺は織物の生産が古代より受け継がれていて、手作業の地機(じばた)が結城紬のはじまりだそうです。

 小山駅近くにある「おやま本場結城紬クラフト館」は、結城紬のPR拠点として、本場結城紬を身近に感じる場所となっています。

 紬の特徴は、作業工程の多さと絹のしなやかな手触りではないでしょうか。
 最近は高価で上質な合成繊維もありますが、袖に腕を通した感触に違いを感じます。
 素朴な着物ですが、着慣れたお洒落さんにとっては魅力溢れる「ニッポン美」ですね。

「おやま本場結城紬クラフト館にて」コナともこ
「おやま本場結城紬クラフト館にて」コナともこ

*今日の和の学校*Today’s Gathering

除夜の鐘

 年の暮、お寺は大晦日から三が日にお参りする方々をお迎えするため、準備に忙しいようです。
 毎年、千人以上の皆さまがコキットラム市にあります東漸寺を訪れるそうです。
 どなたでもお参りできますので、お友達やご家族と是非訪れてみてはいかがでしょうか。

コキットラム市の東漸寺での恒例の年末年始行事のお知らせです

「除夜の鐘 東漸寺にて」コナともこ
「除夜の鐘 東漸寺にて」コナともこ

 可愛い兎年から勇ましい辰年へ、移ろうとしています。
 今年も着物コラムをご覧いただき、ありがとうございました。
 皆さまにとって、新しい年が幸多き1年となりますように、お祈り申し上げます。
 よいお年をお迎えください。
 コナともこ

「Burnaby Lake Regional Park」Manto Artworks
「Burnaby Lake Regional Park」Manto Artworks

参照
日本の行事・暦:http://koyomigyouji.com/index.html
きもの大辞典:https://www.someoriren.jp/dictionary/index.html
おやま本場結城紬クラフト館 | 小山市公式ホームページ(city.oyama.tochigi.jp)

「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから

コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
13年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。

年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。

*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。

カナダ人の夫+社会人と大学生の3人娘+老犬1匹(昨年末、虹の向こうへ)がおり、バンクーバー近郊在住。

和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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東漸寺Tozenji Temple https://tozenjibc.ca/

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