ベルリン国際映画祭などドイツで数々の賞に輝き、アカデミー賞の国際映画長編部門へ送られ、釜山、トロント、バンクーバーなど世界の国際映画祭に招待された作品がバンクーバーへやってくる。
Carla Nowak(LEONIE BENESCH)は、中学校の体育と数学を教える新任教師。ある日学校で数件の盗難事件が発覚し、教え子の1人に疑いがかかる。ある時先生の1人が小銭を盗んでいるのを目撃した彼女は、わざと自分のジャケットを職員室に置き去りにする。真の泥棒を探して生徒の無実をはらそうとした彼女だが、逆に別の疑いや脅しをかけられてしまう…
教育制度や学校の規則に問いかけるİlker Çatak監督のストーリー構成は的をついている。かれこれ50年以上も同じ状態で続いてきた学校制度がいま壊れかけてきていることを予感させる映画。若い熱血教師、年齢も態度も古い校長、声を出さず影で文句を言うだけの先生たち、生徒だけでなく先生の中にも泥棒はいるなど、ついうなずきながら見てしまう。また主演女優Carla Nowakの演技も自然。優しくて責任感のある彼女がいじめの攻撃に合う姿は、今の社会で誰もが一度は目撃した事のある場面ではないだろうか。学校を通じて社会の在り方について考えさせられるので、是枝裕和監督の「怪物」と一緒に合わせて見てほしい。
音楽も最小限だが、何気ない画面の移り変わりがすばらしく、これがİlker Çatak監督の持ち味だと感じた。また何十年も変わっていない先生ファッションも皮肉っぽくてグッド。
THE TEACHERS’ LOUNGE
期間: 2月8日、10~13日、15日
会場:Vancouver International Film Festival(1181 Seymour St, Vancouver)
ウェブサイト:https://viff.org/whats-on/the-teachers-lounge/
オリジナル言語ドイツ、2023、95分。
Press Screening Credits: Mongrel Media / Star PR
(記事 ジェナ・パーク)
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