バンクーバーで繰り広げられた3日間の熱戦「カナダセブンズ2024」は、2年連続、女子はニュージーランド、男子はアルゼンチンの優勝で幕を閉じた。女子日本代表は強豪相手に随所に光るプレーを見せたものの力及ばず10位に終わった。ただ今年7月のパリ五輪に向け課題も見えた大会と振り返った。
サクラジャパン、カナダセブンズ10位も次のステップに手ごたえ
今大会の女子日本代表はプールBでオーストラリア、アメリカ、フィジーと対戦し3連敗。9位~12位決定戦に進み、南アフリカと対戦。24対5と快勝し、今大会初白星をあげた。その後9位決定戦ではアイルランドと対戦。パース大会で優勝したチーム相手にリードしながらも惜敗。10位となった。
キャプテン平野優芽選手は大会5試合を振り返り、「チームとしては最終的な順位には納得いくものではないですけど」と厳しい表情をしながらも、「自分たちのパフォーマンス的にはすごく改善して日本らしいアタックだったり、ディフェンスというのを出すことはできたので、前向きなところは多いかなと思います」と一定の手ごたえを感じていた。
初日アメリカ戦のあとには試合の入りでうまくいき先制トライを決めたことを評価していた。鈴木貴士ヘッドコーチも「試合の入りでは初日も含めていい入りができていた部分はありました」と機能したプレーをまず挙げた。ただ、「大事な場面でしっかりトライを取り切るだったり、相手を倒してボールを奪うだったりという一心がもう少し大事にできたら」と振り返った。
今後はセブンズシリーズが5月まで残り4大会あり、7月にはパリ五輪が控えている。セブンズシリーズに出場しているチームはほとんどパリ五輪に出場する。ここで上位に食い込めないということはオリンピックでも勝てないことを意味する。
ただこれから4大会に出場して国際試合を経験する中で、修正も調整もまだまだ可能。
「試合によっていい時と悪い時の差がまだ大きいところが私たちが上(位)に行けない弱い部分なのかなと感じています」と平野選手。1大会5~6試合ある中で、日本らしいプレーを出せている試合もあれば、そうでない試合もあると反省を口にする。「5試合、6試合とコンスタントに自分たちのやりたいラグビーをどれだけ出せるかっていうところが上(位)に行くために大事かなと思っています」
2023カナダセブンズから格段に成長
鈴木ヘッドコーチは、昨年初出場したカナダセブンズと比べて「今年は自分たちがやるべきことが、しっかりと選手一人ひとりが明確になっています」と話した。
初日のオーストラリアやアメリカとの対戦で、敗れはしたが選手たちの動きは明らかに昨年と違っていた。スピードだったり、ディフェンス力だったり、勝ちに行こうとする姿勢だったり、一つひとつのプレーが鋭さを増しているように見えた。それは、強豪相手に先制トライを決めたり、得点が僅差だったりと、結果にも表れた。
オリンピックまでは「一人ひとりのフィジカルな部分は継続的にやっていき、どれだけひとつのプレーにこだわってやっていけるかが今後すごい大事になっていくと思います。そのプレッシャーの中で自分たちのプレーを100%、120%出せるようにやっていきたい」と鈴木ヘッド。平野選手は「最終的には勝たないと結果がついてこないので課題の部分はまだままだつめていかないといけないと感じています」とパリを見据えた。
セブンズシリーズ
7人制ラグビー世界大会セブンズシリーズは世界8都市で開催される。今シーズンは2023年12月のドバイ(アラブ首長国連邦)を皮切りに、ケープタウン(南アフリカ)、パース(オーストラリア)、バンクーバー(カナダ)、ロサンゼルス(アメリカ)、香港(中国)、シンガポール、そして5月のマドリッド(スペイン)が最終大会となる。参加チームは男女各12チーム。カナダ大会「カナダセブンズ」は毎年バンクーバーで開催されている。
カナダセブンズ2024結果
女子日本代表
プールB
オーストラリア戦 12-10
アメリカ戦 26-12
フィジー戦 36-12
9~12位決定戦
南アフリカ戦 5-24
9位決定戦
アイルランド戦 12-7
優勝
女子ニュージーランド
男子アルゼンチン
カナダ代表
女子3位
男子12位
(取材 三島直美/写真 斉藤光一)
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