カナダde着物
第56話
*能登半島地震支援茶会*
道端のクロッカスが可愛らしく咲き始め、時より冷たい風があるものの、雲の合間に見る薄明るい日差しは、バンクーバーらしい春の訪れです。
年の初めに起きた能登半島の地震から1か月以上が経ちました。
裏千家淡交会バンクーバー協会とコキットラム市にあります東漸寺では、寒さの中で災害にあわれた被害地の方たちのことを思い、少しでもなにかできることはないかと考えた末、支援の茶会を開いてわずかでも復興のお役にたてればとチャリティー茶会を思いたちました。
当日は急な茶会のお知らせにも関わらず、多くの方々がいらして、能登地方の海のイメージを表現した道具の取り合わせの中、一服を味わっていただきました。
皆さまがいつもの生活に戻られますよう、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
*今日の着物*Today’s Kimono
「着物との生活~茶道と共通すること」
「着物でお出掛けは、ハードルが高いわ~」と着付教室の皆さんがぼやきます。
着物の準備から着付、会場での所作、お花畑でのこと(お手洗いのことです)、帰って来てからの着物の手入れ、などなど…、洋服で出掛けるより数倍の時間と手間がかかります。
それは茶道の中で、お茶をお相手に用意する過程にとても似ています。
お点前(てまえ)は、ひと椀のお茶を用意するために半時間~1時間をかけます。
禅の修行、社交、色々な歴史背景や身分制度などが絡み合い、今に至るまで続いた伝統文化のひとつでありますが、長い間人々を惹きつけてきた理由はそのプロセスにあるかと思います。
直ぐに用意できるインスタントラーメンのように時を過ごすのではなく、自分の生きた証を残すような、そのような時間を過ごしたいという気持ちで、自分の想いをお相手やお道具に注ぎます。
自分の周りにある全てに「心を入れる」作業をしているように思えます。
あと形式ばっているようで、実は「俗世の喧騒から離れてリラックスする場」という意味合いもあるようです。本来の茶道は諸行無常に基づく侘び寂びを楽しむための場であり、茶室での作法も他の人を不快にさせないための気遣いです。
話は着物に戻りますが、自分に一番近いもので影響を与えるものとは何でしょう。
「着るもの」かも知れません。
身近でいつもあるものの中に着物を取り入れてみることで、茶道のように季節を感じ、その場を演出し、文化を学び、自分の心も整えることができます。
是非、少しずつ生活の中に着物を取り入れてみることをお勧めいたします。
一歩進むことでハードルはどんどん低くなりますよ!
*今日の和の学校*Today’s Gathering
「裏千家淡交会バンクーバー協会主催*能登半島地震支援茶会2024年2月11日 東漸寺にて」
お寺の庭に節分草が咲く2月の日曜日、朝からサラサラした優しい雨の中、お子様連れや着物姿のお客さまが支援茶会へいらしてくださいました。
お茶席が初めての方にも気軽にいらしていただきたいという気持ちで、主催者は椅子席を用意しました。
皆さまがお茶会を通じて、能登半島を想い支援をされたことが、被災した皆さまの復旧と再建のお役に立てることを願います。
以下、協会からのお礼とメッセージです。
裏千家淡交会バンクーバー協会から皆さまへ
「能登半島地震支援茶会」には急なご案内にもかかわらず、多大な御協力を賜り、協会会員一同厚く御礼申しあげます。
能登半島といえば日本海の荒波が思い浮かびます。
お茶会で使う道具類は、掛け軸は「八風吹不動」、お棗は「荒磯」、お茶碗は「宝船」、お茶杓は「春光」等、能登半島の風景とこれからの復興を願う組み合わせでした。
お菓子も会員が心を込めて手作りし、お客様をもてなしました。
一日も早い復興を祈る会員の気持ちが伝わり、お茶会に来られなかった方達からも多額のご寄付をお預かりさせて頂いております。
皆様の熱い気持ちと共に、迅速に支援金が能登半島に届くことを祈念しております。
これからも裏千家淡交会バンクーバー協会は、日本の文化を通して地域の皆様とともに歩んでゆきたいと思っております。
今後ともご支援賜りたく、感謝とともにお願い申しあげます。
春はもうすぐそこまでのこの頃ですが、皆様ご健康で、それぞれの分野でご活躍なさいますことを祈っております。
裏千家淡交会バンクーバー協会
参照
日本の行事・暦:http://koyomigyouji.com/index.html
きもの大辞典:https://www.someoriren.jp/dictionary/index.html
三寒四温:「三寒四温」の意味と使い方!時期はいつ?由来や反対語は?|語彙力.com (goiryoku.com)
茶道裏千家:裏千家ホームページ 茶の湯に出会う、日本に出会う (urasenke.or.jp)
裏千家淡交会バンクーバー協会:https://www.facebook.com/profile.php?id=100082895604443
「着物語り」
コナともこさんが着物の魅力をバンクーバーから発信する連載コラム。毎月四季折々の着物やカナダで楽しむ着こなしなどを紹介します。
2020年8月から連載開始。第1回からのコラムはこちらから。
コナともこ
アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
13年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。
年間を通じて季節の行事に加え、お寺での初参り、七五三祝い、十歳祝い、元服祝い、二十歳祝い、結婚式、生前葬、お葬式などの設えと装いのお手伝いもさせていただいております。
*詳しくはコナともこ までお問い合わせ下さい。tands410@gmail.com
東漸寺は非営利団体で、和の学校の収益は東漸寺の活動やお寺の維持の為に使われています。
カナダ人の夫+社会人と大学生の3人娘がおり、バンクーバー近郊在住。
和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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