ブリティッシュコロンビア大学(UBC)アジアンセンターに、弁士が集まり、自らの胸の内を流ちょうな日本語で熱く語った。日本への関心が高まっている現在、36回目となるこの弁論大会での競争率もますます激しさが増し、うれしい審査員泣かせとなっている。
日本語への関心の入り口は、「アニメ、漫画、ポップカルチャーをもっと理解したかったから」という声が多く、その後、日本文化への理解へと深化している。
在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事が表彰式で「本来、他国語を学ぶことは、とても苦痛を伴うものなのに、皆さん楽しんで学んでおられるような印象でした」と述べた。好きなことから入門するのが上達のコツなのだろう。
最近では、日本への観光も通常のルートだけではなく、穴場的な地方へと広がりを見せ、地元の人とのコミュニケーションがスムーズになってきたという。それは、この弁論大会の盛り上がりぶりからもうなずける。
大学の部1位受賞者の発表内容を紹介する。
<大学生の部・初級>
「ビターコーヒーとケーキ」ケリー・デンさん(Kelly Deng:UBC)
大学入学後、最初の専攻は生物学でした。それはビターコーヒーの味のようなものでしたが、途中で日本語の授業を取ることができました。それはおいしいケーキの味。ビターコーヒーとケーキの2つの味のハーモニーは格別。人生、自分の好きなことばかり選べるわけではないので、苦手なものでも好きなものと組み合わせれば、うまくいくという教訓を得た思いです。
<大学生の部・中級>
「自分自身から私を守ってあげるもの」ソヒ・リさん(Seohee Lee:UBC)
私は毎日、日本語の授業の1時間前に教室に入り、ホワイトボードに似顔絵を描く習慣があります。“それは何のために描くの?”という疑問を持たれていましたが、今では、その絵が現在の自分の感情表現となっているようで、クラスメートとのコミュニケーションツールの一助になっているようです。だから、この習慣は当分続きそうです。
<大学生の部・オープン>
「占いブーム」チブン・ショウさん(Zhiwen Zhong:UBC)
占いは紀元前2000年にさかのぼるといわれます。誰もが一度は試したことがあるでしょう。占いの回答は、あいまいで、誰にも当てはまるものと知っていながらも、迷ったとき、つい頼ってしまうもの。それが、背中を押してくれるときもあり、自信を取り戻すきっかけになれば幸い。占いが長年続いてきたポイントではないでしょうか。
優勝者は「カナダ全国日本語弁論大会」に参加
カナダ全国の地区大会を勝ち抜いた強豪たちがオタワの在カナダ日本大使館に集まり「カナダ全国日本語弁論大会」が3月24日に行われる。BC州・ユーコン準州からは今回の「大学生の部」の各カテゴリー優勝者が出場する。3人は日本語をもっと勉強したいと意欲を見せ、「全国大会がんばります!」と心の内で火花を散らしながらも互いに健闘を誓い合っていた。
第36回BC州日本語弁論大会
3月2日、UBCアジアンセンターで開催。在バンクーバー日本国総領事館、BC州日本語弁論大会実行委員会共催、UBCアジア研究学科、UBC、ローカル企業・団体、日本の姉妹都市(安中市、千葉市、 釧路市、さいたま市)協力。
発表者は、BC州、ユーコン準州に居住し、日本語を母国語としない人が対象。今年の大会には、高校生の部に初級12人、中級9人、オープン3人、大学生の部には初級6人、中級8人、オープン5人が参加した。
(取材・写真 笹川守)
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