日本酒類輸出コーディネーターのアクシスプランニング主催Sake Workshopが2月23日、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー市で開催された。会場にはカナダで販売・輸入を手掛ける11社が自慢の日本酒を紹介。販売店関係者や日本酒愛好家などに勧めていた。
この日会場に訪れたリッチモンド市でプライベート・リカーストア(個人酒店)Lennox Liquorを経営するHenry Leungさんは30~40種類の日本酒を扱っているという。「日本酒はとても人気です。日本には酒蔵がたくさんあると思うので、日本からもっと輸入されることを期待しています」と語った。
カナダでもっと日本酒の魅力を広めたい
BC州日本酒協会小西隆之会長は、今回は協会に所属している会員だけでなく新しい輸入業者やカナダの酒造会社などにも参加・協力を呼びかけ、「できるだけ一緒にこういうイベントをして普及していきましょう」とカナダの日本酒関連業者が協力して発信していくことになったと話した。
小西さんによると、カナダには各州に酒類を管轄するLiquor Boardという州立公社がありアルコール類の独占流通をしているため、カナダで酒類を製造・輸入販売する場合には高い税金や輸入・流通コストがかかるという。
そのため日本酒販売だけではビジネスが成り立たないことも多い。イベントを開催してもプロモーションする自社販売商品ですら小売価格で購入しなければならないと説明する。
そこで、今回は今年初めて国税庁認定コーディネーターによるイベントとして開催。このようなイベントを開催することで「費用を抑えながら日本酒を紹介できる機会を増やして、業界を盛り上げていこうと企画しています」。日本政府としても日本酒の海外展開に力を入れていく方向だという。
日本酒販売にコストがかかるカナダだが、日本酒人気はかなり高いという。日本酒の輸出先として、アメリカや中国が多いが、東南アジアに続いてカナダとオーストラリアが7位、8位に来ると話す。欧米ではアメリカに次いで人気があるということで「ポテンシャルは高いと見ています」。高い税率や運送保管費用、州営公社店での少ない取扱量など、現在は高い壁が立ちはだかる状況だが、「業界が一緒になって盛り上げていければと思っています」。
バンクーバーでは新型コロナウイルス感染規制が解除されて以降、日本酒の販売数は落ちているという。小西さんは「新型コロナが明け、旅行や帰国などでカナダを出るため、それまでお酒にお金を使っていた人が海外で使うようになっているようです」と分析する。2023年後半からそれが顕著に表れたと話す。
それでも2024年は正常に戻りつつあると感じている。加えて円安の影響もあり海外への輸出を希望する日本の酒蔵も増えてきたという。日本政府も日本酒の輸出促進には積極的で「こういう機会はチャンスだと思って、一般の消費者にも日本酒の良さを知ってもらえるこうしたワークショップを続けていきたい」と語った。
ワークショップでは日本酒の紹介のほか、料理に合う日本酒の選び方などもセミナー開催し、さまざまな楽しみ方を紹介している。
(取材 三島直美)
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