第12回 終活ノートを書いた後はどうするの??~Let’s 海外終活~

終活は新しい大人のマナー

叶多範子

​​いきなりですが、私にとって5月といえばゴールデンウィークです。カナダに住んでから、日本のほうが祝日が多少なりとも多いことに気づいたのは私だけではないでしょう。調べてみたら日本では16日、カナダでは州や祝日の定義により異なりますが、10日〜13日でした。日本では祝日が多く、連続して休めるゴールデンウィークのような長期休暇がありますが、カナダでは祝日は少ないものの、有給休暇を取りやすいため、どちらも一長一短と言えるでしょうか。

さてこれまでに、何回もに渡りエンディングノート(終活ノート)の必要性と重要性に触れてきたので、そろそろそれ以外のお話を聞きたい方も多いかと思います。

私の中で、ノートをほぼ書き終えたら終活の半分が終わった!と言えると思っています。

今日はその残りの半分についてのお話をしたいと思います。

残りの半分の2つのうちの1つは、もしまだあなたが遺言や委任状などの公的書類を作成していないなら、ぜひ前向きに検討の上、できるだけ早く作ってください。

こんな事例があります。

生前、とても愛情深かったお父さんが複雑な事情があったのにも関わらず、遺言を残さなかったため、子供たちが神経を病むほどの相続問題を繰り広げることになってしまいました。せめて遺言にきちんと誰にどれだけ相続させたいのかが書いてあれば、お父さんの意思を尊重する方向で協力し合えたかもしれないのに、それができなかったのは本当に残念なことだと思います。問題が解決した後、1人の娘さんが「お父さんの愛情を疑ったことはないが、本当に私たちのことを考えていてくれていたら、遺言を作っていてくれたはずだという思いが何度もよぎった」と言った言葉が忘れられません。

どんなに家族を愛していても、周りの人に迷惑をかけたくないという気持ちがあっても、その思いを実現するための公的な書類がなければ、片手落ちになってしまうことをくれぐれも忘れないでください。

そして2つ目は自分の思うまま楽しく好きに人生を送ってください。

え、それだけ?そう、それだけです。

それだけなんですが、後者の「自分の思うまま楽しく好きに生きる」というのが実はなかなか容易ではないことがあります。

例えば、以下のような状況です。

・突然失業した
・重い病気にかかった
・親の介護が始まった
・人間不信に陥った
・大きなミスを犯してしまった
・経済的な不安を抱えている

など、人それぞれ悩みや抱えている問題は異なります。

今は何もなくても、これからこういった悩みや問題に直面する可能性は誰にでもあり、予想だにしなかった事態が起こることがあります。問題が発生した際には、怖がらずに現実を直視できる勇気、柔軟さ、立ち向かう強さ、そして前向きさも必要になってきます。

なので、もし今、幸運にもあまり制約がなく、自分の好きなこと、やりたいこと、叶えたいことができる状況であるなら、後悔のないようにぜひ「今」を謳歌して人生を満喫してくださいね。

「Let’s海外終活~終活は新しい大人のマナー」の第1回からのコラムはこちらから。

叶多範子(かなだ・のりこ)

海外終活アドバイザー・弁護士アシスタント
「終活をせずに亡くなった!認知症になって困った!途方に暮れた!!」を、「終活しておいて良かった!」「終活してくれていて、ありがとう!」に変えたい!そんな思いから2020年に終活アドバイザー資格を取得。海外在住の日本人向けの「海外終活」についての講座や説明会、ご相談はブログやFacebookなどのSNSをご覧ください。家族はカナダ人の夫+息子2人+猫1匹、バンクーバー在住。

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