「バンクーバーファッションウィーク2024 秋冬コレクション」ファッションを通してメッセージ発信、2つの日本発ブランドに注目!(後編)

「FREijA」のショーの始まり。2024年4月28日、David Lam Hall, Chinese Cultural Centre of Greater Vancouver。撮影:古川紋/Japan Canada Today
「FREijA」のショーの始まり。2024年4月28日、David Lam Hall, Chinese Cultural Centre of Greater Vancouver。撮影:古川紋/Japan Canada Today

 バンクーバーファッションウィーク(Vancouver Fashion Week: VFW)2024年秋冬コレクションが4月23日から28日の6日間、バンクーバー市David Lam Hall Chinese Cultural Centre of Greater Vancouverで開催された。

 バンクーバーファッションウィークは2001年に初めて開催された、ニューヨークに次ぐ北米で2番目の規模となる国際的ファッションイベント。今回はカナダ国内をはじめ、アメリカ、メキシコ、ウクライナ、イギリス、インド、日本、韓国など各国から注目のデザイナー50人以上が発表。世界4大コレクションを目指す若手デザイナーの登竜門と言われるだけあり、今回も盛り上がりを見せた。

 日本からはSOLIT!、meihana、macu macu、COLORFUL BOUTIQUE MORE、Pipiro☆Hiro、le graine、Kubo san made、topao、CHIDORI、MOEMUSISAN、Retoru、nolum、FREijAの13ブランドが参加した。

 その中から今回は注目のブランド「SOLIT!」と「FREijA」のデザイナーやモデルに話を聞いた。

 後編では「FREijA」を紹介。

「バンクーバーファッションウィーク2024 秋冬コレクション」ファッションを通してメッセージ発信、2つの日本発ブランドに注目!(前編)

「FREijA」デザイナー梶田有美さん

ショー直後の「FREijA」デザイナー梶田有美さん。2024年4月28日、David Lam Hall, Chinese Cultural Centre of Greater Vancouver。撮影:古川紋/Japan Canada Today
ショー直後の「FREijA」デザイナー梶田有美さん。2024年4月28日、David Lam Hall, Chinese Cultural Centre of Greater Vancouver。撮影:古川紋/Japan Canada Today

 コレクションのテーマは「ズームイン」で、視点の変化のアイディアを探求。

 廃棄になる予定の素材を販売している素材屋で購入したものだけを使用している。さらにモデルは寝起きのようなヘアメイク、ほぼ化粧なしで、裸足という一般的なファッションショーのイメージを覆す演出が観客の目をひいた。

ショーを終えて今どんな感情ですか?

 ギリギリまで制作していてなんとか間に合いました。洋服のクオリティに自分の中で納得していました。こだわった音楽と洋服を合わせたかったのですが、リハーサルだとモデルさんが歩いている途中で音楽が終わってしまっていました。尺を確実に合わせてもらうように演出家の方にお願いすべきか直前まで考えていましたが、本番で奇跡的にぴったり合ったんです。絶対だれにも調整できないのに。とても緊張していたのですが、それに驚いたのと色んな感情が今混ざっています。

-VFWのための制作の特別なこだわりはありましたか?

 全部ですね。いつもは受注生産のスタイルでお客様にお届けするという前提でものづくりをしているので、ユーザーさんのことを考えてデザインする思考回路ができています。今回それを壊したいなと思いました。いつもと全く違う世界で、私のことを全く知らない方々からの反応や自分の感情を実験したくて、マーケティングも全く抜きにしてとにかくやってみようと思いました。

ファッションデザイナーとしての活動を続けるブレない意志を保つ秘けつは?

 ものづくりを始めたきっかけは、幼少期に本当にシャイで表現の手段として工作や絵を描いてしていました。それが途中で服に変わって自己表現の媒体の幅が広がりました。アウトプットして感情ぶつける場所だったので、10代のころは止められないという感じでしたね。その延長で今までやってきましたが、何度も止めようと思ったことはありました。でも結局止められなかったという感じです。

 あと私にとって洋服を含めてアートは常に必要な要素なので、そういう存在でありたいという希望があって続けています。

今後の目標は?

 ファッション業界は(新型)コロナ(ウイルス感染拡大)期間を終えてかなり変わったと思います。完全に大量生産の時代も終わりました。洋服をフィジカルに物を売る以外の方法で、アーティストとして生きていくということを実験しながらやっていくことですね。どんな道になるか今模索しています。

個性豊かな来場者のファッションスナップ

 来場者の個性豊かなファッションもVFWの見所。世界各国のデザイナーやブランドが、ファッションを通して、世の中に強いメッセージを発信する場となっている。今回も、メディア、モデル、ファッション業界関係者、そしてファンがバンクーバーに集まり、世界の状況や最新のトレンド情報を交換し、華やかで活気あふれる5日間となった。

バンクーバーファッションウィーク会場で。2024年4月23日、David Lam Hall, Chinese Cultural Centre of Greater Vancouver。撮影:古川紋/Japan Canada Today
バンクーバーファッションウィーク会場で。2024年4月23日、David Lam Hall, Chinese Cultural Centre of Greater Vancouver。撮影:古川紋/Japan Canada Today

(取材・写真 古川紋/動画 斉藤光一)

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