グラッドストーン日本語学園第53回卒業式、今年も晴れやかに

第53回卒業式、小学科・中学科・高等科の卒業生全員と、村上陽子学園長(前列中央)、先生たちと。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
第53回卒業式、小学科・中学科・高等科の卒業生全員と、村上陽子学園長(前列中央)、先生たちと。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園

 グラッドストーン日本語学園第53回卒業式が5月18日、日系文化センター・博物館で開催され、今年は卒園式・学習発表会・卒業式が盛大に行われた。

 午前の第一部は、継承語クラスと基礎科クラスの卒園式で、会場の300席は埋め尽くされた。グラッドストーン日本語学園・村上陽子学園長が、園児の一人ひとりに愛を込めて「卒園おめでとう」と手渡す卒園証書を、園児たちは「ありがとうございます!」と大きな声で受け取った。

3歳児による「アンパンマンダンス」。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
3歳児による「アンパンマンダンス」。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園

 卒園式のあとには、3歳児から小学科1年生までの生徒の5年ぶりとなる学習発表会。3歳児は「アンパンマンダンス」の遊戯、4歳児は「チキチキバンバン」の遊戯、5歳児は「1年生になったら」の歌と鳴子を持っての「よさこいソーラン」の踊り、1年生は「大きなかぶ」の寸劇を披露。そして最後に3歳児から1年生までの全員で「小さな世界の歌と手話」が発表されると歓声がわき起った。一生懸命練習した成果を元気いっぱい発揮した舞台上と、保護者や出席者らとの一体感での盛り上がりは、どんな演劇にも勝るものがあった。

1年生による「大きなかぶ」。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
1年生による「大きなかぶ」。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
3歳児から1年生までの全員で「小さな世界の歌と手話」を発表。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
3歳児から1年生までの全員で「小さな世界の歌と手話」を発表。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園

 午後1時からの第二部は、小学科、中学科、高等科の卒業式。卒業証書授与のあと、一人ひとりが「卒業生の言葉」を述べた。

 小学科の卒業生は、ことわざを使って「『念には念をいれて』早起きして漢字の練習をしました」や、「2回落ちた漢字検定を3回目で合格しました『三度目の正直』でした」など、学園での自らの体験を結びつけた一文をそれぞれの卒業生の言葉として発表した。

 中学科は学園でのさまざまな経験を基に将来への決意を表明した。高等科は日本の古典の学習が印象に残ったことや琴で桜の曲の練習をしたこと、また茶道のお茶の飲み方や華道などの日本の伝統文化に触れて興味が湧いたことなどの思い出を話した。また、それぞれにお世話になった先生、家族、なかでも母親への感謝が多かったことが印象的だった。

卒業式でソーラン節を披露。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
卒業式でソーラン節を披露。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園

 卒業式も終わりにさしかかった時、在校生の高等科初級と中学科2年生が卒業生へのはなむけに、活気あふれるソーラン節の踊りを披露した。高等科有志はサックスとチェロでの「蛍の光」の生演奏で送り出した。退場する小学科・中学科・高等科の卒業生に在校生が「おめでとう」と言いながらカーネーションを贈る姿に会場はほのぼのとした雰囲気に包まれた。出席者からの大きな拍手の中、卒業生は退場していった。

高等科有志によるサックスとチェロでの演奏。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
高等科有志によるサックスとチェロでの演奏。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園

「あなた方は、世界と日本をつなぐ架け橋となる大切な人材」

 在バンクーバー日本国総領事館・丸山浩平総領事は、「先ほどから卒業される皆さんの堂々たる姿、自信にあふれた姿を見て、感銘を受けました。それは、現地校の普段の勉強に加え、日本語勉強という過酷さを乗り越えてきたという自信に裏打ちされたものでしょう」とあいさつ。世界はいま大変な時代を迎えているとき、「あなたたちは、日本とカナダ、そして世界とをつなぐ架け橋となる大切な人材です。ぜひ一緒にがんばっていきましょう」と力強い応援の言葉を贈った。

「親子二代での卒業生の参加もうれしく」

 「卒業生の皆さん、そして保護者の方々、本日は誠におめでとうございます」と卒業を祝った村上陽子学園長は、「卒業証書57名一人ひとりの名前を書いていくうちに『ああこの子は紅葉のような手形で工作していたなあ』と懐かしく思い出しながら、毎年立派に成長していることに感慨無量です」と、卒業式は学園長にとってはいつもうれしく少し寂しいもののよう。それでも、親子二代で参加している卒業生も多く、そうした卒業生たちと懐かしそうに話をしていた。

 53回目となる卒業式を振り返り、すでに社会で活躍している先輩や学園に遊びに来た大学生などワクワクドキドキしながら楽しく過ごしている3人を紹介し、「仕事でもスポーツでも学問でも自分の希望する道をワクワクドキドキするような出会いを見つけ楽しみながら日々送れることを願っています」と学園長。「丸山総領事のお言葉にもありましたが、英語、日本語を自在に使いこなし、世界の架け橋となってください」とエールを贈った。

 保護者にも、「子どもたちの送迎や宿題のサポート、励ましなど、ご苦労さまでした。ほんとうにありがとうございました」と感謝した。

第53回卒園式。村上陽子学園長(前列中央)。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
第53回卒園式。村上陽子学園長(前列中央)。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
小学科の卒業生、村上陽子学園長(前列中央)先生たちと一緒に。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
小学科の卒業生、村上陽子学園長(前列中央)先生たちと一緒に。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
中学科の卒業生、村上陽子学園長(前列中央)、先生たちと一緒に。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
中学科の卒業生、村上陽子学園長(前列中央)、先生たちと一緒に。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
高等科の卒業生全員、丸山浩平総領事(前列中央)、村上陽子学園長(左から7人目)と一緒に。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園
高等科の卒業生全員、丸山浩平総領事(前列中央)、村上陽子学園長(左から7人目)と一緒に。2024年5月18日、日系文化センター・博物館。写真提供 グラッドストーン日本語学園

グラッドストーン日本語学園

1971年に学園長の村上陽子氏によって創立され、今年で53年となる。2歳から高等科まで一貫した日本語クラスを展開し、高学年は漢字検定や日本語能力試験などの試験を実施。日本語教育に加え、日本の文化や習慣を身につけることにも力を入れている。そのほか学園外からも参加できる習字クラブも行っている。

Webサイト: https://www.gladstonejls.com/

(取材 笹川守)

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