バンクーバー日本語学校で5月25日、生徒たちによる恒例の学習発表会が行われた。生徒や保護者あわせて約500人が見守るなか、キンダーから大人までの生徒たちがステージに立ち、1年間の学習の成果を披露した。
トップバッターは、1年生と基礎科の生徒による「よさこい鳴子踊り」。法被を着た子どもたちがかわいらしい音の鳴子を手に、掛け声をかけながら元気に踊った。
今回の発表会では最年少となるキンダーの子どもたちは、「おおきなふるどけい」を熱唱。続く「世界中のこどもたちが」では、太鼓、トライアングル、タンバリンなどの楽器に合わせて歌い、次々と表示される国旗を見ながら、授業で習った「国の名前」を発表した。
国語の教科書でおなじみの童話「お手紙」で演劇に挑戦したのは4年生。セリフや地の文をそれぞれ暗記し、交代で役を務めた。小道具、大道具も、子どもたちの手作り。
上級生になると、会場を巻き込んだユニークな発表が目立った。日本の都道府県について学んだ6年生が行ったのはクイズ「都道府県」。「秋田県で有名なものは?」「東京スカイツリーの高さは?」などの質問を投げかけた。正解した子どもたちから「ヤッター」という声が飛び出すなど、大いに盛り上がった。
会場を爆笑の渦に巻き込んだのは、中学3年生によるコント「変な日本」。「日本人は食事をするときにも走るのはなぜでしょう?」、「日本人は『すみません』と『ありがとう』だけで会話できる」など、スキット(寸劇)を交えながら日本人の「変なところ」をコミカルに紹介した。日本についての報道などメディアについて学習したなかで発見したネタだという。
高等科の生徒のテーマは「方言について調査した件」。「ほとんど一文字で会話が通じる方言」「いかつい方言ランキングとかわいい方言ランキングが同じ」などについての調査結果を実演で発表。いかにもティーンらしいユーモアあふれる内容とともに、方言の再現度の高さに感心させられた。
バンクーバー日本語学校には、外国語として日本語を学ぶ生徒向けの基礎科がある。基礎科Aの発表「どようび」では、これまでに習った文法やあいさつを使って「土曜日の一日」について話し、「曜日の歌」を歌った。基礎科DEは「自分を表す言葉」を発表した。小さな子どもの面倒を見るのが好きだから「やさしい」、新しいことを勉強するのが好きだから「ちしき」など、生徒たちは自分を表現する言葉を選び、それぞれ披露した。ファンだからと「きめつのやいば」を選んだ生徒もいて、会場の笑いを誘った。
また同校では、子どもだけでなく大人も大勢日本語を学んでいる。初級者向けのアダルトAクラスは「助詞の達人」として、学習した助詞を使った例文を発表した。次のレベルとなるアダルトBクラスのテーマはクイズ「旅行場所を当てよう!」。方言を交えたコントで「どこを旅行しているか」当てるという内容に、大人も子どもも熱心に耳を傾け、答えを考えた。
長い歴史を誇り、充実した設備やネットワークを持っているバンクーバー日本語学校。今回の発表会も、広い体育館で行われ、運営には生徒会の生徒や卒業生がさまざまな形で関わった。また課外活動も盛んで、そのひとつである演劇部は6月15日に演劇発表会を予定している。今回の発表会では、その予告編「潜入!オニオン座」を披露した。ある高校の演劇部をレポーターが取材するという内容だが、女子高生たちのリアルさ、ユーモア溢れる演技に会場は沸いた。
約3時間にわたった発表の後、藤井清子校長先生は「これまでの努力が実を結び、すばらしい結果が出せたと思います」と、感無量の面持ちで生徒たちをねぎらった。そして、皆で力を合わせて練習したことで、子どもたちが「1+1が10にも100にもなること」を学んだと話し、家庭でもそのがんばりを褒めてあげてほしいと締めくくった。
(取材 宗圓由佳)
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