第8回「D Way Foods and Beverage Show」開催、本物の日本の食品と酒をカナダへ

にぎわう会場の様子。2024年6月10日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
にぎわう会場の様子。2024年6月10日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 日本の食品や酒を日本各地から輸入し、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州の日本食レストラン、食品販売ストア、リカーストアへ卸す「D Way Foods Inc.」が、第8回「D Way Foods and Beverage Show」を6月10日に日系文化センター・博物館で開催した。

 西カナダ最大の日本食と酒の展示会で、BCリカーストアも公認のイベント。日本食レストランやリカーストアの経営者、シェフやプロダクトコーディネーターらが集まり、新銘柄の試飲、日本食品の試食を通して新しいアイデアを取り入れる機会となる。

 日本から来た業者は、まるや八丁味噌、福島鰹、ショクリュー(OUGグループ)、創味食品、インタークロス、司牡丹酒造、春鹿(酒蔵)、日本名門酒会、COEDO BREWER、朝日酒造(久保田)、菊水酒造、宝酒造(USA)の12社。

イベントテーマ「インスタ映え」する料理の盛り付け方法やアイデアの提案ブース。2024年6月10日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
イベントテーマ「インスタ映え」する料理の盛り付け方法やアイデアの提案ブース。2024年6月10日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 今回は「インスタ映え」がテーマで、メニューの盛り付けやツールを展示するブース、D Way社の生産部門によるラーメン、焼き鳥、餃子やコロッケなどのブースも設置され、「映える」内容で盛り上がった。

 2020年からの新型コロナウイルス感染拡大の影響で5年ぶりの開催となったが、来場者数は400人を超える大盛況だった。

「日本から輸入することで、本当の日本食と酒を皆さんにわかっていただきたい」宮本玲さん

D Way Foods and Beverage Show実行委員長・宮本玲さん。2024年6月10日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
D Way Foods and Beverage Show実行委員長・宮本玲さん。2024年6月10日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today

 D Way Foods and Beverage Show実行委員長・宮本玲さんは、テーマを「インスタ映え」にした理由を「(新型)コロナの影響でお客様の動きやニーズが変わって働く人がいないので、オーナーさんが働くことに忙しくて、考えている余裕がないから。レストランオーナーがどういう苦労をされているかという理解をした上でテーマを決めてやっていけたら」と笑顔で答えた。

 新型コロナが明けて5年ぶりに開催できた気持ちを聞くと「うちのスタッフも5年ぶりなのでエキサイトしているし、お客様も本当に興味津々で来ていただいて、予想の倍を上回った来場者数です」とうれしそうに話す。

 今後については「アルバータ(州)まで出したい。カルガリーとエドモンドにはお酒はもう入っているので、食もこれから開拓して東の方へ攻めていきたい。実際にオーダーも入ってきています」と語った。

新型コロナ前からメインブース「ショクリュー(OUGグループ)」

 豊洲から魚を毎週D Way社に輸出しているショクリューは、今回は魚だけでなくイベントのテーマ「インスタ映え」に合わせ、食用花やつまもの、料理に振りかけるラメパウダーなども紹介した。

 一番人気はレストランで簡単に提供できる居酒屋メニュー「北海道ポテトもち」「蟹クリームコロッケ」で、昼過ぎには売り切れになったという。

 海外開発部の村田光利さんは「圧倒的に今年は人が多いです。以前は普通の日本食しか売れませんでした。しかし最近はおまかせメニューを提案するような差別化を狙うレストランが増えていきているので、一種類ずつのオーダー数は減っていますが種類が増えています」と語った。

それぞれに自慢の逸品をバンクーバーで紹介

 世界で2軒しかない八丁味噌屋のうちの1軒「まるや八丁味噌」は、パウダー状になった八丁味噌を紹介。斬新なアイデアで八丁味噌の用途を広げる商品で、既存の料理にトッピングとして使える手軽さとコクのある味が人気の理由だという。

 京都の茶屋や仕出し屋などに商品を提供している昨年100周年を迎えた「京都福島鰹」は、昆布やパウダーなどを展示。人気商品はかつおだしのティーバッグ。今まではレストラン側が自分でブレンドして店の味を作っていたという。しかしティーバッグは、味噌汁やうどん、そばなど何にでも使いやすい配合で一つのパックになっている手軽さが参加者の目を引いていた。

 日本各地の美味しい食材を流通する「インタークロス」の今回の一押しは、静岡県産の生の桜海老としらすの冷凍、千葉県産スイカと群馬県産メロン。特にメロンは、生産者の「最もおいしい状態で出せないなら出したくない」というこだわりから今回は持ってくるのを最初は反対されたそうだ。しかし長い期間築いた信頼関係がありバンクーバーで紹介できたと説明した。

 今回話を聞いた関係者によると、バンクーバーでの日本食への人気は年々高まっているという。また日本食のバリエーションも増え、クオリティの高い飲食店が増えているとも感じていると話していた。そんなトレンドの中で開催された今年のD Way Foods and Beverage Show。カナダで提供できる本物の日本食品や酒の可能性を広げ、新しいアイデアをもたらすきっかけとなるイベントとなったようだった。

420年の歴史がある高知の酒蔵「司牡丹酒造」佐野尚史さん。バンクーバーで人気急上昇中のゆず酒を提供している。2024年6月10日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
420年の歴史がある高知の酒蔵「司牡丹酒造」佐野尚史さん。バンクーバーで人気急上昇中のゆず酒を提供している。2024年6月10日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
日本で最も売れている生酒「菊水酒造」。約10年前にバンクーバーに持ってきた当初は缶への反応が悪かったが、最近は逆に缶の反応が良いと話す。2024年6月10日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
日本で最も売れている生酒「菊水酒造」。約10年前にバンクーバーに持ってきた当初は缶への反応が悪かったが、最近は逆に缶の反応が良いと話す。2024年6月10日、日系文化センター・博物館。Photo by Koichi Saito/Japan Canada Today
リカーストアを経営している初参加の2人。「とてもエキサイティングで、新商品がたくさんあってとても良いイベントですね」と語るHenry Leungさん(左)と「日本食が大好きです。新しい日本商品をトライできる機会はすばらしい」と話すTomas Chungさん。2024年6月10日、日系文化センター・博物館。Photo by Ayaka Furukawa/Japan Canada Today
リカーストアを経営している初参加の2人。「とてもエキサイティングで、新商品がたくさんあってとても良いイベントですね」と語るHenry Leungさん(左)と「日本食が大好きです。新しい日本商品をトライできる機会はすばらしい」と話すTomas Chungさん。2024年6月10日、日系文化センター・博物館。Photo by Ayaka Furukawa/Japan Canada Today

(取材 古川紋)

合わせて読みたい関連記事