毎年6月も後半に入るとバンクーバーの気温が一気に上がる。温暖化の影響だろうか、今年も各地でヒートドームや昨年の最高気温を上回る可能性が予想されている。猛暑になると多くの人が冷房の効いた映画館に足を運びたくなる。
ということで、そんな「夏の映画シーズン」に向けたエンターテイメント映画が続々登場。日加トゥディでは、この夏上映される予定の映画をいくつか紹介したい。ちなみにシネプレックスでは火曜日に割引サービスを行っているので要チェック。
“Daddio”
深夜のタクシーで秘密を聞く
素敵な夜のイルミネーションを背景にタクシーはJFK空港からマンハッタンに向かう。タクシーの運転手クラーク(ショーン・ペン)は現在のタクシー業界が抱えている不平等さを話す。出張帰りのかわいい乗客ガーリー(ダコタ・ジョンソン)は携帯電話のテキストをしながら適当に相づちを打つ。何気ない小さな会話から二人は意気投合し、そのうちお互いの人生において抱えている悩みを打ち明けていく…。
まるで二人と一緒にタクシーに乗っているような感覚になるロードムービー感覚のさわやかな映画。監督はクリスティー・ホール。
Rating: STC/ 1hr. 40 min.
“June Zero”
「正当な道とは」について考えさせられる作品
元ユダヤ人移送局長官でアウシュヴィッツ強制収容所へ多くのユダヤ人を送り、その後逃亡生活、拘束、イスラエルへ連行、裁判、死刑など波乱な人生を歩んだアドルフ・アイヒマン。1962年の死刑執行時では、「自分はただ命令に従っただけ」と無実を訴えた。映画は3人(少年、看守、生存者)を通した違う視点を巧みに描いていく。
後先の結果を考えることのできない「従順すぎる」人間たちを生み出したのは戦争時代に限ったことなのだろうかと、現在のスマホ時代に喝を入れるような16ミリフィルムの作品。監督は父も姉も有名な映画一家で知られるジェイク・パルトロー。
Rating: STC/ 1hr. 45 min.
“Furiosa: A Mad Max Saga”
最後までハラハラ・ドキドキで目が離せない
Fury Roadで30年ぶりに蘇ったマッドマックス、アクション・シリーズのさらにスピンオフされた映画で、今年のカンヌ国際映画祭でプレミアされた。監督はオーストラリアの生きた巨匠ジョージ・ミラー、主役はアニャ・テイラー=ジョイ。バイカー集団「バイカー・ホード」を率いるディメンタス役は今人気のクリス・ヘムズワース。
今回は前作「マッドマックス:怒りのデスロード」で活躍した女戦士フュリオサの若き日が描かれる。俳優泣かせの危険なアクション、過酷なスタントと本物の爆発を使うミラー監督ならではの迫力満点な映画に仕上がっている。
Rating: 14A/ 2hr. 28 min.
“Deadpool & Wolverine”
正義を貫くおじさんスーパーヒーローたち
マーベルコミックスのキャラクターを起用した、ヒーローコメディー映画「デッドプール」第3弾の監督はショーン・レヴィで、主人公はカナダ人俳優のライアン・レイノルズ。今回はウルヴァリンのヒュー・ジャックマンが登場する。
ウェイド・ウィルソンことデッドプール(レイノルズ)はヒーロー活動を引退し、静かな生活を送っていた。だがある日、故郷が重大な危機に遭遇していることを知り、同じくリタイアしていて任務に消極的なジェームズ・“ローガン”・ハウレットことウルヴァリン(ジャックマン)と一緒に復帰する。
全米脚本家組合と全米映画テレビ製作者協会の交渉ストライキのため、撮影と公開がかなり遅れた作品。
Rating: STC/ 2hr. 7 min.
“Inside Out 2”
自分が好きになる冒険ファンタジー映画
2015年のピクサー・アニメーション・スタジオ製作によるアニメーション映画「Inside Out」の続編。
元気で笑顔が素敵な11才の女の子、ライリー・アンダーソンが本作ではティーンエイジャーとなり、頭の司令部にはヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリという5つの感情に加えて、今回はシンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシなど新たな感情が登場する。監督はケルシー・マンで、かわいくてあらゆる世代が楽しめる感動作品になっている。
Rating: G/ 1hr. 36 min.
“Blue Lock the Movie – Episode Nagi”
過去のトラウマを乗り越えるサッカー物語
「ブルーロック」は原作が金城宗幸、 漫画がノ村優介で、講談社の「週刊少年マガジン」に連載・アニメ化された作品。
ある出来事をきっかけにサッカーをやめていた凪誠士郎。だがある日、ワールドカップで活躍する日本最強のストライカーを育成するブルーロック・プロジェクトに招待される。気乗りしない凪だったが、昔の友人やライバルとの出会いから次第にサッカーへの情熱を取り戻し、ブルーロックのトップ・ストライカーになる厳しい戦いに挑む。見る人に勇気と希望を与えるアニメーション。監督は石川俊介。
Rating: PG/ 1hr. 31 min.
“Andrew Rieu’s 2024 Maastricht Concert: Power of Love”
愛いっぱいのシネマコンサート
オランダの音楽家で「ワルツ王」として知られるアンドレ・リュウ。今回は彼の故郷マストリッヒで、彼の演奏と指揮による60もの楽器を奏でるヨハン・シュトラウス・オーケストラと、ソプラノ、テノール、そしてスペシャルゲストで構成される夏のコンサートイベント。クラシックにポップやロック、映画音楽、ワルツ、バラードなどを加えたパワフルな演奏がビッグスクリーンで楽しめる。オランダの景色、豪華な衣装、そしてユニークな演出もファンは見逃せない。
Rating: STC/ 3hr.
(取材 ジェナ・パーク)
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