猛暑に備える、BC州での注意ポイント

暑さ対策に設置されたMisting Station。消火栓から水を引いたシャワーが辺りを涼やかに。2022年7月26日リッチモンド市。Photo by The Vancouver Shinpo
暑さ対策に設置されたMisting Station。消火栓から水を引いたシャワーが辺りを涼やかに。2022年7月26日リッチモンド市。Photo by The Vancouver Shinpo

 メトロバンクーバーをはじめとするブリティッシュ・コロンビア(BC)州も7月に入り、真夏の暑さがやってきた。

 猛暑が続いたとき、高温警報が発令された場合に、どのような行動をとればいいか、どのような点に気を付ければいいのか、BC政府の資料を基にまとめた。

猛暑について

 BC州での猛暑とは、日中や夜間の気温が高くなり、例年の標準を大幅に超えた状態。

 猛暑になると、熱中症などの体調不良や死亡の原因となるため、自分自身や家族、身近な人を守るための対策が必要となる。

 BC検視局の発表によると2021年は、6月25日から7月1日にかけてBC州を襲ったヒートドーム(極暑)が原因で595人が命を落とした。それらの死因のほとんどは、個人宅の室内温度が高すぎたことに起因している。

 BC州では暑さの程度により2段階で警報を発令している。第1段階は、非常に暑く公衆衛生に中程度のリスクがある場合の「高温警報」、第2段階は、危険なほど暑く公衆衛生に非常に高いリスクがある場合の「極暑緊急事態」。

 BC州政府による定義は以下通り。

「高温警報(Heat Warning)」

 日中や夜間の気温が通常より高く、猛暑が続き、熱中症や熱性疲労を起こす危険性が高くなったときに発令。高温警報が出ているときは、涼しく過ごすための行動が必要。

「極暑緊急事態(Extreme Heat Emergency)」

 日中や夜間の気温が例年の標準を大幅に超え、さらに上昇を続ける場合に発令。暑さに対する緊急時対応策を取るよう注意喚起される。

高温警報が出されたり、いつもより暑いと感じたら?

1.「涼」を確保する

  • 冷たい水で濡らしたタオルなどで体を拭く
  • 水分補給する、水を飲む(甘い飲料やアルコール飲料は脱水を引き起こすので注意)
  • エアコンがある場合はエアコンをつける
  • 涼しい場所に移動する。家の中の一番涼しい部屋や、エアコンがある家族・友人宅、もしくは、地域のクーリングセンターなどを利用する

2. クーリングセンターについて

 地域にある冷房設備を完備している公共施設がクーリングセンターに指定されている。

  • 図書館
  • コミュニティセンター
  • ショッピングモール
  • 映画館宗教施設

 詳しい住所は各地域の市役所ホームページに掲載されているので確認する。

3. 屋外で気を付けること

  • 屋外での活動をなるべく減らす
  • 買い物などの用事がある場合は、早い時間帯か遅い時間帯の涼しい時間を利用する
  • 涼しく風の通る日陰に入ったり、つばの広い帽子や肌を守る服を着たりして、直射日光をなるべく避ける
  • ミストステーションでクールダウンする

暑さの影響を受けやすい人、熱中症になるリスクが高い人

 自宅や住居施設にエアコンなどの冷房設備がない場合、猛暑の影響を受けやすい人は特に注意が必要。

  • 65歳以上のシニア
  • ひとり暮らしの人
  • 妊婦、乳幼児や子ども
  • 糖尿病、心臓病、呼吸器疾患などの慢性疾患がある人
  • 統合失調症、うつ病、不安神経症などの精神疾患がある人
  • 薬物使用における障がいがある人
  • 運動障がいや認知障がいなど、身体的または精神的な障がいを持つ人
  • 激しい運動をする人、暑い環境で仕事をしている人

 また、熱中症を引き起こすリスクが高くなる行為として、暑い天候の中で十分な水分補給をしない、アルコールや薬物の過剰摂取などがある。

熱中症の症状と対策は?

 暑さが原因の症状には、熱中症(Heat Exhaustion)と熱性疲労/重度の熱中症(Heat Stroke)がある。

熱中症(Heat Exhaustion)の症状

  • 皮膚の発疹
  • 多量の発汗
  • 吐き気や嘔吐
  • 呼吸と心拍が速くなる
  • 頭痛
  • 集中力の欠如
  • 筋肉のけいれん
  • 極端な喉の渇き
  • 濃い尿と排尿の減少
  • めまいや失神
  • むくみ(特に手足)
  • 倦怠感や脱力感

対処法

  • 涼しい場所へ移動する
  • 冷たいシャワーを浴びたり、冷たい水で体の一部を冷やす
  • 水で濡らしたシャツやタオルを身に着ける
  • 十分は水分補給をする(アルコール飲料は避ける)
  • 休息する

 専門家と話したいときは、8-1-1に電話すると看護師など専門家と話ができる。またシニアは、2-1-1も利用できる。どちらも日本語の通訳サービスがあり。

熱性疲労/重度の熱中症(Heat Stroke)

  • 発熱
  • めまいや失神
  • 皮膚が非常に熱く、赤くなる
  • 意識が混とんとする
  • 精神敏しょう性の低下
  • 意識不明

対処法

 一緒にいる人、近くの人が、すぐに9-1-1に電話し、救急救命士が到着するまで、顔や首を冷やすなどの手助けが必要。

 また、8-1-1に電話して看護師などと話すこともできる(日本語の通訳サービスあり)。

普段から心がけておくこと

 猛暑の時だけでなく、大雪や洪水など、天候による災害が起きたときに慌てないように普段から何かあったときのために、次のようなことを心がける。

  • あらかじめ何かあったときに連絡を取り合う仲間の連絡先を確保する
  • コミュニティセンターなどの場所を確認しておく
  • ひとり暮らしでいざという時に手助けが必要な場合は、様子を見に来てくれる人にお願いしておく
  • なにかあったときに必要な電話番号を控えておく

知っておくと役立つ連絡先

  • 9-1-1:救急
  • 8-1-1:症状などを看護師などの専門家に相談できる。日本語通訳サービスあり。英語で対応した相手にJapanese Pleaseと言ってリクエストできる。
  • 2-1-1:シニア向け相談窓口(日本語通訳サービスあり)
  • 3-1-1:バンクーバー市緊急リクエスト(通訳サービスあり)

BC州、バンクーバー市などが推奨する部屋の中を涼しくする工夫

 BC州政府や各市・機関が暑さ対策のために、室内をなるべく涼しく保つための方法を紹介している。「暑い時は、住まいを少し工夫するだけで、大きな違いが生まれます。あなたのニーズに合わせて、1つでも2つでも実行すると役立ちます」とのこと。

  • 窓用フィルムなどをつけて日差しを遮る。窓の外側に厚紙を貼るなどしても効果あり(カバーのない窓は家の内部の熱を2〜3度上昇させる)
  • カーテンやブラインドを閉める
  • 外気温が室内温度より低いときは窓やドアを開け、午前10時から午後8時までは窓を閉める。午後8時には開けて涼しくし、扇風機(台所や浴室の換気扇を含む)を使って家の中の涼しい空気を動かす
  • 扇風機で熱気を外に出し、一晩中涼しい空気を家の中に入れる
  • 室内の温度を正確に測るために温度計を用意する(暑さの影響を受けやすい人にとって31度以上は危険。26度以上になったら涼しい場所に移動する)

 暑さが続き、体調不良を感じたら無理せず、医療機関を受診するか、誰かに助けを求めることが大切。

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