笑いの健康効果を学び、笑い力を鍛える2024~笑いの底力、バンクーバーで講演会&体験会が開催される

日系文化センター・博物館での講演会&体験会の様子。2024年6月16日。写真提供:日本語認知症サポート協会
日系文化センター・博物館での講演会&体験会の様子。2024年6月16日。写真提供:日本語認知症サポート協会

 日本語認知症サポート協会では以前から笑いヨガの講座を開いてきた。この度「日本笑いヨガ協会」の代表・高田佳子さんを講師に迎えて、メトロバンクーバーで全4回の講演会&体験会を開催した。

 高田佳子さんは2009年にインドで笑いヨガを学び、日本へ帰国後「日本笑いヨガ協会」を設立。笑いと健康の研究を進め、全国で講演や指導を行っており、著書や翻訳書も多数出版している。一級建築士及び老年学修士であり、日本応用老年学理事、早稲田大学文学学術院非常勤講師も務める。

 6月14日から16日まで全4回の講演会は、日系文化センター・博物館(日系センター)やスティーブストン仏教会、リステルホテルなどの会場で開催されたほか、Zoomでの配信が行われた回もあり、たくさんの入場者、視聴者を集めた。

 このうち6月16日に日系センターで行われた「未来をつくる笑いの力」と題された4回目の模様をリポートする。

 笑いヨガをベースとした笑トレ®は、立ち上がって行うものだけでなく、座ったままでもできるものも多い。呼吸に意識を置くものが多い点にはヨガの要素を感じるが、ヨガの難しいポーズを取るという必要もなく、誰でもすぐに始められそうなものばかりだ。

 笑トレ®にはいろいろな体操がある。手や脇の下の筋肉を伸ばしたりするストレッチ、スクワットなどの筋トレがあったり、ゴム飛びの真似などで可動域を拡大するなどといった運動効果が期待される。

 いくつかの体操のあとにはパワーポイントで「笑いの力」について説明した。93歳のスーパーモデル、93歳のフィットネスインストラクター、94歳の世界最高齢の総務課長など、さまざまな分野で活躍する高齢者を紹介。これらの人たちの共通点は素敵な笑顔だ。

 その他にも、アメリカのプロ野球選手のベースボールカードで選手の表情と寿命の関係を調査した結果、笑顔で写っている選手のほうがそうでない選手に比べて平均して7歳ほど長生きしているということなどを紹介した。笑いは健康や寿命に良い影響があると高田さんは言う。

 「人は楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しい」という言葉を紹介し、笑うことで心身を活性化し、ポジティブな気分を引き起こすことが可能だとしている。また、いろいろな口の形に開けて笑ってみることで、オーラルフレイル*の予防になったり、表情筋のトレーニングや肌の血行促進にも役立つという。

*オーラルフレイル:口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含み、身体の衰え(フレイル)の一つ。口の周りの笑トレ®を行う事で、口輪筋や舌筋を鍛え、誤嚥予防や滑舌を良くすることに繋がる。(日本語認知症サポート協会より)

 笑トレ®で一番大切なのは声を出して笑うことだ。高田さんによると、おもしろく感じなくても笑うことはでき、それはおもしろいことがあって笑うのと同じ効果が期待できるという。笑うことで血液循環が良くなり、体が温まるのを実感できる。そして、声を出して笑うことでストレス解消に役立つほか、リラックス効果もあるという。また笑いは伝染するので、周りの人を巻き込んで笑いの渦を広めることができるのも良い点と、笑うことの効用を説く。

 今回の講座では、15種類ほどの体操を高田さんのリードで参加者が体験。会場には朗らかな笑い声が響き、楽しそうな雰囲気が伝わってくる。

 どれも簡単な動きなので、体が硬い人でも可動域が狭い人でも無理なくできるのが特長。運動をしようと気負わなくても、気楽に始められるのも良い点だろう。

 おもしろいことがあったわけでもないのに笑うということは、やってみると意外と難しい。よく笑えるようになることで、内臓に刺激を与え、血液循環が良くなり、幸せホルモンが検出されてポジティブな気持ちになれる。いまよりもっと健康で豊かな未来のために、毎日の生活に取り入れるのもいいかもしれないと感じさせてくれる講座だった。

(取材 大島多紀子)

日本語認知症サポート協会より
この講演会および体験会は、「Japanese Canadian Legacies Society」のCommunity Fundからの助成金をいただき、企画・運営いたしました。

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