Gifts and Things「ファッション雑誌とコラボ、新しいマーケティングで日本市場を開拓」佐藤広樹さんインタビュー後編

 日本の人気ファッション雑誌とコラボするという斬新なアイデアで日本市場を開拓しようとしているバンクーバーのGifts and Things。「お土産物屋さん」ではなくバンクーバーのお洒落なギフトショップとして日本での知名度を上げるのが狙いだ。

 「カナダと言ったら “Gifts and Things”となるといいなと思います」と笑うオーナーの佐藤広樹さんに話を聞いた。後編。

Gifts and Things「ファッション雑誌とコラボ、新しいマーケティングで日本市場を開拓」佐藤広樹さんインタビュー前編

異業種とのコラボで知名度を上げる

動物が描かれたマグカップ。写真提供:Gifts and Things
動物が描かれたマグカップ。写真提供:Gifts and Things

 コラボはファッション雑誌だけでなく、5月のゴールデンウィークには東京でイベントを開催。環境活動をしている滝沢ごみクラブと合同のイベントで、Gifts and Thingsのトートバッグ販売やカナダでのエコグッズなどを紹介した。

 今後も「SNSインフルエンサーと一緒に何かできればいいかなと思っています」という。「コアなファンが付いている人たちと一緒にやっていければいいかなって」

 Gifts and Thingsも知ってもらいたいし、「カナダの良さをもっと日本の人に知ってもらいたいから」と話す。

 日本でそろそろGifts and Thingsが知られてきたなと思うようになるまで「3年くらいかな」と見ている。「すぐにはやっぱり無理なので。地道にやっていかないと。ポップアップもやったり、宣伝もやったり、雑誌とタイアップやったりとか、とにかくやってみる。すると新しいマーケットができたらそこで次に何かできるので、その先のビジネスになればいいかなと。日本人なので(日本で)何かできれば、それがまたプラスになる。(商品を)持って行くだけではね。(日本で)何かやれば将来につながるので。色々な動きをしていきたいです」

もっとカナダを知ってもらいたい

 佐藤さんはバンクーバーで日本人経営の土産物店がなくなっていることをさみしく思っているようだ。「だんだんと日本人同業者がいなくなってしまった」と話す。だから自分たちもなくならないようにするにはどうするかを考えなくてはと言う。

 「新しいところからどんどん攻めていかないと、いつかなくなっちゃうんじゃないか。競合はローカルですから、そこに勝たないといけない。常に新しいことを取り入れて、若い人の感性を取り入れて、ローカルに負けない店づくりをしていく。そして日本人としての強みを生かす。日本のマーケットには入りやすいので、そこでいま動いているところです」

 バンクーバー店では品揃えやディスプレイの工夫に加えて、日本式の細かな接客でリピーターを増やしている。「コミュニケーションはリピーターにつながります」と言う。新しい商品を開発したいとの意欲もある。いまはアメリカドル高の影響もあり「良い風が吹いています」と感じている。だからいまできることを一つ一つ実践していく。

 ファッション雑誌とのコラボもその一つ。「FUDGEに載れば洋服好きの人がカナダの物を見てくれる。そういう人たちにカナダに興味を持ってもらう。そしてカナダに来てもらう。そうなったらいいなと思って。ガスタウンはお洒落ですし、きれいな街なのでみんなに知ってもらいたいんです。こっちの方から入り口を増やせば日本からカナダに来る学生や旅行者も増えるし、カナダではこういうトレンド物を売っているんだなってカナダのイメージアップにもなる。だからファッション雑誌で紹介してもらうのは新しい入り口なのかなと思っています」

 今後も数回掲載を考えてると話す。中期的なビジョンで「客」ではなく「ファン」を増やしていく。そうして「カナダと言ったら “Gifts and Things”となるといいなと思います」と笑った。

佐藤広樹(さとう・ひろき)
Crescent Moon Enterprises Ltd.オーナー・代表取締役
1998年ウィスラーにSMILE GIFT、2008年バンクーバー市ガスタウンにSmileys Giftを開店し2020年GIFTS AND THINGSに改名

Gifts and Things
359 Water Street, Vancouver
TEL: 604-632-0155
ウェブサイト:https://www.giftsandthings.info/
インスタグラム: https://www.instagram.com/giftsandthings.ca/

バンクーバー市ガスタウンにある店の前で。写真提供:Gifts and Things
バンクーバー市ガスタウンにある店の前で。写真提供:Gifts and Things

(取材 三島直美)

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