懸念されていたカナダの2大貨物鉄道会社の全面運休が決行されたが、直後の政府介入により再開の見通しとなった。
鉄道会社カナディアン・ナショナル・レールウェイ・カンパニー(CN)とカナディアン・パシフィック・カンザスシティ・レールウェイ・カンパニー(CPKC)は、労働組合チームスターズ・カナダ・レール・コンフェレンスと数カ月にわたり労使交渉を行っていたが、合意に至らず、8月22日深夜に鉄道会社側がロックアウト(施設封鎖)を決行した。労働組合は合意に至らなかった場合、CPKCはストライキを決行すると通告していたが、会社側の施設封鎖となった。その結果、9,300人のエンジニア、車掌、鉄道操作場作業員が締め出された。
しかしその17時間後、連邦政府スティーブ・マッキノン労働大臣が事態への介入を発表。カナダ労働法107項に基づき、カナダ労使関係委員会(CIRB)に最終的な調停を依頼した。同大臣は素早い解決を望むとしつつ、交渉は独立したプロセスであると強調した。
鉄道会社側は両社とも調停を要求していたが組合側は拒否していた。
またマッキノン大臣は同委員会に対し、両社に運行を再開するよう求めた。新しい合意内容が実施されるまでは現行の労働協約に則しての運行となる。大臣は再開時期について「数日のうち」と会見で述べた。CPは22日午後6時(東部標準時)には施設封鎖を解除、CPKCはCIRBからの命令を受け取り次第と発表。ただ運行再開時期については明言を避けている。
鉄道両社は施設封鎖による運休前にすでに一部の鉄道サービスを停止していた。そのためきょうからの完全停止で物流にさらに大きな影響が出る。またブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバー、オンタリオ州トロント市などの通勤列車も早朝から運休を余儀なくされ市民の通勤に影響が出ている。メトロバンクーバーの公共交通機関運営管理会社トランスリンクは、ウエストコーストエキスプレスの22日からの運休を発表、再開は見通しが立ち次第に発表するとしている。
カナディアン・マニュファクチャラーズ・エクスポーターズのデニス・ダービー氏は、政府の動きを歓迎しているものの、サプライチェーンが通常通りに戻るにはしばらく時間がかかると話している。
(記事 編集部)
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