10月に入りあっという間に肌寒い日が増えてきたバンクーバー。秋って紅葉を楽しんだり、もう少し穏やかな季節じゃなかったっけ?と思いながらも、芸術の秋を楽しむべく映画館に通っている私です。
さて、今回ご紹介するのは先月のトロント国際映画祭で観た超大作の中から、早くも劇場公開になった2作品「Megalopolis」と「The Wild Robot」。共に話題作ですが、実は両方とも大好きなスターウォーズ系俳優さんたちが出ているという個人的な理由(笑)からもおすすめする2本です!
「Megalopolis」(フランシス・フォード・コッポラ監督)
近未来のニューヨークを思わせる都市が舞台。時と空間をコントロールする不思議な力を持つ理想主義者の建築家シーザー(アダム・ドライバー)が主人公。災害で荒廃した街にユートピアを作り再建しようとするシーザーと市長(ジャンカルロ・エスポジート)との権力攻防や彼の周囲の女性たち、メディアとのかけひきなどを描く。コッポラ監督が構想40年を経て巨額の私財を投入したことでも話題に。
まず俳優さんは皆役柄にぴったりで、さすがコッポラ作品。ストーリーはシンプルなんだけど、あまりに細かい要素が盛りだくさんで何が起こっているか追いつくのに少し苦労しました。幸運にも観た後にコッポラ監督のQ&Aを聞く事が出来たのと、周囲の人との答え合わせでやっと理解できた感じです。要約すると、未来の都市を舞台にしたSF要素の入ったローマ叙事詩に、愛、政治批判、過去の映画へのオマージュ、監督の哲学、文学的知識などを詰め込んだ作品…かな。巨匠コッポラ監督が自費で自分が作りたい映画を作りたいように作ったある意味すごく贅沢な作品。終わった後にいろいろ考えたり誰かと話したり、そしてもう一度観てみたくなる映画であることは間違いないです。監督が「どの様な未来を子ども達に残すことが出来るのか、それを問いかけるためにこの映画を作った」と言うのを聞いて宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を思い出したりもしました。
「The Wild Robot(邦題:野生の島のロズ)」(クリス・サンダース監督)
同名の児童書(ピーター・ブラウン著)が原作でドリームワークス・アニメーションによる作品。人間をサポートするプログラムがインストールされたロボット、ロズ。貨物船の事故で流れ着いた島でスイッチが入り起動したロズは出会う動物たちに用件を聞いて回るが怪物扱いされるだけ。そんな中、ガンのヒナとの出会いをきっかけに他の動物たちとの交流が広がり、次第に仲間として受け入れられてゆく。ところが、ある日島に不気味な飛行船がやって来て・・・。
感想は一言、最高でした!感情も無く無機質なはずのロボットのロズが、周囲から学び少しずつ成長してゆき最後は強く優しいお母さんに。親子の愛情(泣けます!)、仲間との絆、動物たちの厳しい世界などにロボットの戦いというハラハラする要素も合わさって始まりから終わりまでずっと楽しめました。そして忘れてならないのが声優陣。ルピタ・ニョンゴ、ペドロ・パスカル、キャサリン・オハラ、マーク・ハミルらがそれぞれのキャラクターを魅力たっぷりに演じています。アニーションは色味が絵本のようで美しいし登場する動物たちも皆可愛いし、音楽も良かったし、子どもだけでなく大人にもおすすめできる映画です。
両作品ともCineplex系映画館で上映中。
Lalaのシネマワールド
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バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライターLalaさんによる映画に関するコラム。
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Lala(らら)
バンクーバー在住の映画・ドラマ好きライター
大好きな映画を観るためには広いカナダの西から東まで出かけます
良いストーリーには世界を豊にるす力があると信じてます
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